パソコンのメモリ増設効果はある？メモリの選び方や注意点も解説

パソコンのメモリはデータの処理速度に影響します。ストレージ (HDD や SSD) にデータを保存し、ストレージからメモリにデータを取り出し、CPU で計算をするというのがパソコンの基本的な仕組みです。

メモリにはストレージのように長期間データを保存する機能はありませんが、ストレージよりデータの読み書きが速く、処理中のデータを一時的に保存するのに向きます。CPU はメモリに読み出したデータを処理しますが、扱うデータがメモリの容量を超えるとストレージを「仮想メモリ」として利用し、処理速度は遅くなる仕組みです。

メモリの容量が不足すると、主に以下のような症状が発生します。
・パソコンの起動時間が遅くなる
・起動中の処理速度が遅くなる
・ファイルやアプリ自体が開かない
・パソコンがフリーズする

深刻なメモリ不足が発生するとパソコンはフリーズします。フリーズすると処理中のデータが失われるだけでなく、ストレージがダメージを受けて故障の原因になることもあるので、十分なメモリ容量を確保することが大切です。

メモリの容量不足を感じたら、メモリ増設によって問題が解決する場合があります。メモリを増設するには、ドライバーなどの工具でパソコン本体の蓋を開け、新しいメモリをメモリスロットに挿入する作業が必要です。

作業自体は難しくありませんが、蓋を開けた時点でメーカー保証の対象外になるケースがあります。また、精密機器であるメモリは人体が帯びている静電気で故障を起こすケースもあるので、作業前に金属に触れて放電するなどの工夫が必要です。

パソコンによって本体の構造は異なるので、メモリ増設の手順や必要な工具は機種によって異なります。メモリ購入前に、メモリ増設の手順や必要な工具を確認しておきましょう。

正しいメモリ増設の手順は、パソコン購入時に同梱されているマニュアルや、メーカーが公式サイトで公開する Web マニュアルから確認できます。マニュアルを読み込んで、精密ドライバーやトルクスドライバーなど、必要な工具もあらかじめ準備しておきましょう。

メモリ増設をする際は、まず使用中のパソコンに何 GB のメモリが搭載されているかを確認します。搭載 OS が Windows 10 の場合、メモリ容量の確認方法は以下のとおりです。
1. 画面左下の Windows アイコンをクリック
2. 歯車アイコンにマウスカーソルを置き [設定] をクリック
3. 設定ウィンドウの [システム] をクリック
4. [詳細情報] タブをクリック
5. [実装RAM] 欄のメモリ容量を確認

パソコンは機種によってメモリスロットの数や刺さっているメモリの数が異なります。空きスロットがないとメモリは増設できないので、まずは空きスロット数を確認しましょう。以下の手順より確認できます。
1. [スタートメニュー] を右クリックして [タスクマネージャー] を起動する
2. ウィンドウ左下の [詳細] をクリック
3. [パフォーマンス] タブを開いてメモリを選択
4. [スロットの使用] 欄から、「スロットの使用」の値を確認する

デスクトップパソコン用のメモリは「DIMM」、ノートブック用のメモリは DIMM を小型化した「S.O.DIMM」というタイプです。それぞれのメモリは規格の更新が続いており、現在多くのパソコンは最新規格の「DDR4」、または 1 世代前の「DDR3」を採用しています。

DDR4 と DDR3 はピンの数が異なるので互換性はありません。パソコンが搭載するマザーボードによって適合するメモリの種類は異なるため、増設可能なメモリを調べる必要があります。適合するメモリの調べ方は以下の通りです。
・パソコンの取扱説明書を確認する
・フリーソフトを利用する
・パソコンを開けて確認する

Windows OS には 32 ビット版と 64 ビット版があります。32 ビット版の場合は認識可能なメモリの上限が 4GB となっており、4GB 超のメモリを増設しても認識されません。

64 ビット版の場合も機種によってメモリ容量の上限があるので、ビット数やメモリ容量の上限を取扱説明書などで確認しましょう。

パソコンを快適に利用できるメモリ容量の目安は、パソコンの使用目的によって異なります。一般的な使用目的とメモリ容量の目安の関係は以下のとおりです。

現在パソコンでは偶数単位でメモリを増設するのが主流となっています。同じ規格・容量のメモリを 2 枚 1 組で使用することをデュアルチャネルと呼び、処理速度が 2 倍になる効果があるとされています。

そのため、16GB のメモリを 1 枚挿すよりも 8GB のメモリを 2 枚挿すほうが高速化につながるのです。効果はパソコンの使用環境にもよりますが、優先して取り入れたい技術といえます。

メモリ増設の作業自体は難しくありません。しかしメーカー保証が切れたり速度改善の効果が出なかったり、さらには作業時にパソコンが故障したり取り付け後に不具合が発生したりすることもあります。

購入後のメモリ増設を考えるよりは、パソコン購入時から目的に合ったメモリ容量を選択することも大切です。カスタマイズ可能なパソコンであれば好きなメモリ容量を選択できるのでおすすめです。