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CPUの性能は、スコアをもとに判断することが可能です。スコアを目安にすることで、自分の用途に合ったCPUを選べるようになります。CPUのスコアの目安、CPU選びのポイントを分かりやすく解説します。
目 次
パソコンの性能の大半は、CPUの性能に左右されます。そんなCPUの性能を判断する基準として、ベンチマークがあります。CPUの性能を数値であらわしたもので、ベンチマークのスコアを見ることで、どれだけの性能があるのかが分かるのです。
ベンチマークとは基準、指標などの意味を持つ言葉で、対象となるものを測る時のポイントとなるものを指します。パソコンにおけるベンチマークは、性能や処理能力を数値で示したものをいうことが一般的です。
パソコンの性能を測ることをベンチマークテストといい、その結果を比較することでどれだけの性能があるのかが分かります。
ベンチマークテストで測るものはCPUの処理速度、メモリーの転送速度、ストレージのアクセス速度など複数あり、それらのスコアを総合することでパソコンそのものの性能が分かります。CPUだけ突出して優秀なスコアが出ても、ストレージのアクセス速度が遅いと総合スコアは悪くなります。
そして、スコアを見ることで、CPUなどが求めている用途に合った性能を持っているのかを判断できるのです。
パソコンのパーツの性能を測定する、ベンチマークテストのひとつにPassMarkがあります。PassMarkはPassMark Software社が提供する、ベンチマークテストを行うソフトウエアのことで、一般的にはこのソフトで計測されたスコアを指します。広く使われているベンチマークテストで大量のデータが蓄積しているため、CPUをはじめとするパーツの性能を判断するのに役立ちます。
PassMark Software社のWebサイトでは、ベンチマークのスコアを確認できるため、パソコンが搭載しているCPUの性能がどれくらいかを調べられます。パソコンの購入前に性能を確認するため、チェックしておきましょう。
PassMarkのベンチマークテストでは、CPUに複数の計算やデータ処理のタスクを与え、それをどれだけ迅速にこなせるかを測定してスコアとしてあらわします。つまり、PUのPassMarkのスコアを確認すれば、どれくらいの性能があるのかが分かるのです。スコアの数値が大きければ大きいほど性能が高く、データの処理を高速に行えることを意味します。
しかし、CPUの性能はスコアだけでは測れないことに注意しましょう。消費電力や価格、内蔵GPUの性能なども、CPUを決める重要な判断材料です。
CPUには大きく分けて、性能の高さを重視したデスクトップパソコン向けと、消費電力を抑えることを重視したノートブック向けがあります。デスクトップパソコン向けのCPUは直接電力が供給されるため消費電力を気にせず、性能を重視した設計になっています。
デスクトップパソコン向けのCPUのPassMarkを、メーカー別に紹介します。
インテル
CPUの型番 | PassMark |
---|---|
Core i9 14900F | 62,010 |
Core i7 14700 | 53,686 |
Core i7 13700K | 46,644 |
Core i5 14500 | 33,308 |
Core i5 13600 | 32,706 |
Core i3 14100F | 15,052 |
AMD
CPUの型番 | PassMark |
---|---|
Ryzen9 7900 | 48,998 |
Ryzen7 7700 | 34,645 |
Ryzen7 5800X | 27,949 |
Ryzen5 7600 | 27,332 |
Ryzen5 5600 | 21,596 |
Ryzen5 3600X | 18,225 |
ノートブック向けのCPUは、基本的に消費電力を抑えた設計になっています。そのため、デスクトップパソコン向けのCPU同じグレードの製品を比較した時、性能がやや落ちることがあります。
また、ノートブック向けのCPUは発熱量が少なく大がかりな空冷システムが必要ないため、サイズの小さなデスクトップパソコンに採用されていることもあります。
ノートブック向けCPUのPassMarkをメーカー別に見ていきましょう。
インテル
CPUの型番 | PassMark |
---|---|
Core i9 13900HX | 44,841 |
Core i7 13850HX | 38,416 |
Core i5 13600H | 25,569 |
Core i7 1370P | 20,992 |
Core i5 1350P | 20,484 |
Core i5 1250P | 20,384 |
AMD
CPUの型番 | PassMark |
---|---|
Ryzen9 7845HX | 46,489 |
Ryzen7 7745HX | 32,956 |
Ryzen7 7840U | 25,337 |
Ryzen5 7640HS | 23,277 |
Ryzen5 6600H | 18,936 |
Ryzen5 7535U | 17,005 |
CPUはパソコンの性能の大半を決める重要なパーツです。そのため、パソコンを購入する時は、用途に合ったスコアのCPUを選ぶ必要があります。購入するパソコンの用途別にCPUのスコアの目安を確認しておきましょう。
ゲームや動画編集では大量のデータを扱うため、高性能なCPUが必要になります。高性能であればそれだけ高画質な映像でゲームを楽しめたり、作業を快適に行えたりするため、CPUのスコアは高いことが望ましいです。
目安となるPassMarkのスコアは15,000で、20,000を超えると快適な作業を期待できます。特に4Kのような高画質動画の編集であれば、それでも不足を感じることがあるかもしれません。メモリーの容量を増やす、高性能なグラフィックボードを搭載することも検討して下さい。
リモートワークや書類作成など事務作業を中心とした用途であれば、高度な映像処理など高い負荷がかかることはないため、CPUに高い性能を求められることはありません。スコアが低くても作業そのものは可能ですが、複数のソフトを起動するような時は、CPUの処理速度の遅さが影響するおそれがあります。
PassMarkが必要最低限よりやや上のスコアであれば、そういった状況でも遅さを感じることなく作業できるでしょう。5,000前後のスコアを目安にして下さい。
Webサイトの閲覧や動画の再生など、負荷のかからない用途であれば、あまりCPUのスコアを気にする必要はないでしょう。あまりにも古いパソコンだと性能不足を感じるかもしれませんが、いま一般的に流通しているパソコンであれば問題ありません。PassMarkのスコアは、3,000ほどで対応可能です。
ただし、メモリーの容量が少ないなどCPU以外のスペックが著しく低いと、それら影響で遅く感じるおそれがあります。メモリーは少し多めに搭載しておくと良いでしょう。
CPUの性能を理解するには、どういった要素が性能に影響しているのかを知ることが大切です。CPUの性能を大きく左右するポイントである、周波数、コア数、スレッド数について解説します。CPU選びの時の参考にして下さい。
周波数はクロック数やクロック周波数とも呼び、CPUが1秒間に行う処理の回数を示し、単位はヘルツ(Hz)であらわします。つまり周波数が高いほどCPUは1秒間により多くの処理ができ、高速であることが分かるのです。例えば、3GHzのCPUであれば、1秒間に30億回の処理を行えます。
ただし、周波数が高いだけでは、高性能なCPUだと判断できません。CPUの周波数が高いとそれだけ消費電力が増加し、発熱量も大きくなるため、周波数の向上以外でもCPUの性能を高める工夫がされています。
コア数はデータの処理を行うプロセッサーが、CPUにいくつ内蔵されているのかをあらわします。つまり、コア数が多ければ多いほど、同時に多くのデータを処理できるようになるのです。周波数が低くてもコア数が多ければ大量のデータを処理できるため、結果としてCPUの処理能力が向上します。
例えば、周波数が同じ1コアのCPUと4コアのCPUを比較すると、4コアのCPUは4倍の処理能力を持っていることになります。
また、インテルのCPUでは、高い処理能力を持つPコアと省電力で効率の高いEコアを組み合わせることで、処理の効率を向上させています。
スレッド数は、CPUが同時にデータを処理できる数をあらわします。基本的にCPUのコアは、データをひとつずつ順に処理します。しかし、コアの処理能力に余裕があれば、ひとつのコアで複数のデータを同時に処理できるようになるのです。
8コアで8スレッドだとCPUの処理能力に余裕があっても、それ以上の処理効率の向上はしません。しかし、8コアで16スレッドのCPUであれば、処理能力に余裕がある時はさらに多くのデータを同時に処理できるのです。
CPUにはデスクトップパソコン向けと、ノートブック向けの2種類があります。デスクトップパソコン向けのCPUは一般的に性能が高い代わりに消費電力が多く、ノートブック向けのCPUは消費電力が少ない代わりに性能を落としています。ノートブックはバッテリーで動作するため、長時間使えるように電力消費の少ないCPUが必要なのです。
また、ノートブック向けのCPUは発熱量が少ないのも特徴で、冷却性能の低いコンパクトなデスクトップパソコンに搭載されていることもあります。
パソコン用のCPUでは、インテルとAMDが2大メーカーとして知られています。CPU市場ではインテルが大きなシェアを持っていますが、コストパフォーマンスに優れると評価されるAMDも根強い人気を誇っています。インテルとAMDのどちらかが優れている、ということはなく、性能的にはほぼ同レベルのCPUをリリースしています。
インテルとAMDのどちらでもパソコンを操作する上で大きな違いはないため、性能やコストパフォーマンスなどを比較して選びましょう。
パソコンのスペックなどでCPUをチェックする時は、型番の見方を理解することが大切です。CPUの型番には多くの情報が含まれており、特徴や性能などを把握する手がかりになります。型番からどういったことが分かるのか解説します。
CPUの性能を判断する時は、最初に型番を確認する必要があります。なぜなら、CPUの型番からは基本的な性能や特徴などの他、多くの情報を得られるためです。
例えば、CPUのブランドやグレード、リリースされた時期、特徴などが型番から分かります。そのため、CPUの型番を見るだけでも、自分の求めているものかどうかが判断できるのです。より詳しく知るのであれば、それぞれのCPUについて調べる必要がありますが、おおよその情報は型番だけで分かります。
型番を理解できればCPUのスコアをチェックする前に判断できるため、基本的なことだけでも覚えておきましょう。
CPUの型番の冒頭には、「Core i」や「Ryzen」などの名称があります。これらはCPUのブランド名で、パソコン向けであればインテルだとCore i、AMDだとRyzenやAthlonなどがあります。以前はインテルには、Celeron、Pentiumといったコストパフォーマンスの高いCPU向けのブランドがありましたが、いまはインテルプロセッサーというブランドに統一されています。
その他にもインテルは、ノートブック向けの新ブランドのCore UltraというCPUをリリースしています。
インテルのCore iやAMDのRyzenには、ブランド名の後に数字が記載されています。この数字は、CPUのグレードをあらわし、基本的な性能を判断する重要な情報です。
インテルのCPU
CPUの名称 | 性能 |
---|---|
Core i3 | エントリーグレード |
Core i5 | ミドルグレード |
Core i7 | ハイグレード |
Core i9 | 最高レベルのハイグレード |
AMDのCPU
CPUの名称 | 性能 |
---|---|
Ryzen3 | エントリーグレード |
Ryzen5 | ミドルグレード |
Ryzen7 | ハイグレード |
Ryzen9 | 最高レベルのハイグレード |
インテルとAMDでは数字をそろえているため、同じ数字であれば同グレードのCPUと考えて良いでしょう。
CPUのブランド名、グレードの後に続く数字は、インテルであれば世代、AMDであればシリーズをあらわします。基本的に数字が大きいと、新しくリリースされたCPUであることが分かります。
例えば、インテルの「Core i7-14700」というCPUであれば、14という数字が第14世代であることをあらわしているのです。もし、このCPUが第8世代であれば「Core i7-8700」という数字になります。
AMDの「Ryzen7 7700」であれば、7という数字から7000シリーズであることが分かります。5000シリーズであれば「Ryzen7 5700」となります。
CPUの型番によっては、末尾にアルファベットがついていることがあります。これをサフィックスといます。このサフィックスはCPUの特性や機能をあらわし、どういったCPUなのかを判断する重要なポイントです。ちなみに、サフィックスがないCPUは通常版で、デスクトップパソコン向けです。
インテルのサフィックス
サフィックス | 意味 |
---|---|
K | 通常版より高性なCPU。オーバークロックが可能 |
F | GPUを搭載していない。KFだと高性能CPUで内蔵GPUなし |
KS | Kよりも高性能なCPU |
H | ノートブック向けの高性能CPU |
P | ノートブック向けのCPU |
U | ノートブック向けの省電力を重視したCPU |
AMDのサフィックス
サフィックス | 意味 |
---|---|
X | 通常版より高性なCPU。オーバークロックが可能 |
X3D | 通常版よりキャッシュメモリーの多いCPU |
XT | Xよりも高性能なCPU |
HX | ノートブック向けの高性能CPU |
HS | ノートブック向けのCPU でHXより省電力 |
U | ノートブック向けの省電力を重視したCPU |
オーバークロックとは周波数をユーザーが変更することで、パソコンの知識がある人向けの機能です。
CPUを選ぶ時は、世代とシリーズを正しく理解することが大切です。なぜなら、同じCore i5でも古い世代と新しい世代では性能が異なるためです。当然、新しい方が高性能です。世代とシリーズの理解は、CPUの性能を正しく理解するには欠かせません。
インテルのCore iは新技術などを反映し、従来よりも性能や効率が高い新しい設計を導入したCPUで世代を区切っています。そのため、同グレードのCPUであっても新世代の方が、処理能力に優れていたり、効率的にデータ処理ができたりします。CPUを選ぶ時は、できるだけ新しい世代のものを選びましょう。
ただし、世代の違いによる能力差は、それほど大きくはないことに注意して下さい。例えば、10~20%程度の性能向上だと、CPUのスコアが良くなるものの、性能の向上はさほど感じられません。1~2世代程度の違いであれば、あまり気にする必要はないでしょう。むしろパソコンの価格が安くて、コストパフォーマンスに優れていることもあります。
AMDのRyzenのシリーズはインテルの世代と異なり、型番の数字が大きい方が新しいことは間違いないのですが、必ずしも設計の違いで区切ってはいません。例えば、Ryzenの7000シリーズはZen4という最新の設計だけでなく、Zen3+、Zen3など新開発の設計ではないCPUも含まれています。
ノートブック向けのCPUについてAMDは、型番のルールを変更すると発表しています。シリーズをあらわしていた数字はリリースされた年をあらわすことになり、2023年にリリースされたCPUは7000番台ですが、2024年にリリースされるCPUは8000番台になるのです。そして、続く数字がCPUの区分を、2桁目の数字が、CPUの設計をあらわします。
Ryzen7 7840という型番であれば、2023年にリリースされたRyzen7で、設計がZen4と分かります。
パソコンの性能を左右するCPUですが、性能を最大限に活かすには高性能なCPUを選ぶだけでは不十分です。どのような要素が影響を与えるのかを把握し、性能を最大限に引き出せるよう注意しましょう。
どんなにデータ処理の速度が速くても、CPUへデータを転送するのに時間がかかってしまうと、そこがボトルネックとなります。メモリーの容量が少ないとストレージへデータを一時的に保存するため、頻繁にストレージへのアクセスが生じてしまい、CPUの処理能力を活かせません。パソコンの用途によって適した容量は異なりますが、メモリー不足があまり起こらない余裕のある容量を搭載しましょう。
また、CPUによっては、新しいメモリーの規格を使用できるものがあります。最新のDDR5というメモリーの規格に対応するCPUを選べば、より高速なデータ転送が可能になり、高い処理能力を発揮できるでしょう。
どんなに高性能なCPUでも、映像処理まで高速で行うのは困難です。CPUが内蔵しているGPUはWebサイトの閲覧、書類作成などの用途であれば問題ありませんが、高画質の動画編集やゲームなどの用途では映像処理能力が足らないのです。そういった用途であれば、より高性能なGPUが必要になります。
グラフィックボードはGPUを搭載した拡張ボートのことで、CPUに内蔵しているGPUよりも高性能なことが特徴です。高画質な動画編集や3Dモデリング、ゲームなどでは、CPUだけでなく、グラフィックボードの性能も重要になります。
CPUを重視してパソコンを選ぶのであれば、Lenovoの通販を利用しましょう。Lenovoのラインナップは幅広く、さまざまなCPUを搭載したパソコンを販売しています。同じパソコンでも、CPUの異なるモデルが用意されている製品もあるのがポイントです。 中にはCPUやメモリーの容量などを変更できる製品もあるため、自分の用途に合ったパソコンを手に入れられるでしょう。