すでに誕生から10年以上経っていることもあり、比較的低スペックなPCでも遊ぶことができる人気オンラインゲームの『リーグ・オブ・レジェンド』（以下、LOL）。たしかに一般的なプレイヤーの視点から見ると間違いではないが、トップで競い合っているプロゲーマーでは、その常識が異なるものとなっているようだ。

そこで今回は、V3 EsportsのLOLプレイヤーとして活躍しているWashidai選手にインタビューを実施。自身が使用しているPCの活用方法について、詳しくお話をお伺いしてきた。

LOLに出会ったことでゲームにどっぷりハマった

――まずは自己紹介をお願いします。

V3 EsportsのLOL部門でトップレーンをやっています。具体的には、1対1のレーンでどれだけ優位を築くことができるか。本陣がほかの4人というイメージのポジションなので、いかにチームに貢献することができるか。いかに相手との差を生み出すことができるか、というのが主な役回りです。後は、集団戦で自分の役割を果たすことも大事ですね。

大学生の頃にひとり暮らしをしていたのですが、時間が余ったので、それまで受験などであまり触ることが出来なかったLOLを本格的にプレイするようになりました。そうしたなかで、V3 Esportsのサブ選手募集が掛かったんです。ちょうど自分のランクも上がってきたときだったので、高みを目指して挑戦してみようかなと思いました（笑）。

応募した結果、トライアウトなどを経て合格することができました。そこからサブ選手が参加する「Academy League」に出場して、全勝優勝することができたんです。そのときに、「同じメンバーで1部に上がりませんか？」と言われ、今に至るといった感じですね。

――それはいつ頃の話でしょか？

去年の9月頃ですね。大学に入ったのは、3年ほど前です。

――ちなみにLOLを始めたのも大学に入ってからですか？

LOLを始めたのは高校1年のときです。元々FPSなど他のゲームを遊んでいましたが、一緒に遊んでいた友達から「LOLの日本サーバができたからやってみないか？」と言われて、遊んでみることにしました。それまであまりゲームにハマったことはなかったのですが、どっぷりハマってしまって（笑）。

進学校ということもあり、周りにもゲームを遊んでいる人がいなかったので、180度転換というか。これまでは「勉強やらなきゃ」といった感じから、「あ、ゲームやらなきゃ」というように、やらなきゃいけないことを優先していたものが、LOLに出会ってから、いろいろとおろそかになりましたね。

友達に遊びに誘われても断ったり、「塾に行った」といいながらネットカフェに行ったりした時期もありました。学校に朝8時ぐらいに行って、16時ぐらいに終わってそこから塾に行き、22時ぐらいに帰ってから早朝4～5時ぐらいまでLOLをやっていました。そこから8時に学校に行っていたので、数時間しか寝てない状況です。それぐらいLOLにはハマっていましたね。

――次に勝ったら寝るぞ！　みたいな感じで？

あ、そうです。LOLにはいろんなチャンピオンがいます。そのチャンピオンを選んだからといって、試合でうまくいくことは少なかったので、もっとプレイしたくなります。しかし、時間が足りないので、いろいろと削って良くない方向に行きました（笑）。

――ちなみにゲーム歴はどんな感じだったのでしょうか？

それまでは、小学校のときにニンテンドーDSやゲームボーイアドバンスSPなどで『ポケモン』を遊んでいたぐらいでしたね。あとは、友達と一緒に遊ぶWiiとかですね。中学生の頃、友達の家に行ったときに『Call of Duty』を家庭用ゲームで遊んでいましたね。

――高1からLOLを始めたということは、すでにPCを持っていたということですよね？

そうですね。『Call of Duty』のクランに入って、うまいプレイ集のようなものを編集したいなと思って入手しました。いい高校に入学できたら、いいPC買ってもらえるみたいな感じで。「中学までは勉強を頑張れ。高校に行ったら何も言わないから」と両親から言われて頑張りましたね。

――その時に買ってもらったPCはどんなスペックでしたか？

デスクトップで、グラボがGTX1050ぐらいのものです。メモリーは8GB、CPUはCore i5でした。

――なるほど。どちらかというと、ゲーミングPCでもエントリーモデルに近いやつですね。

あ、そうです。最低限ゲームが遊べるものでした。そのときに『PUBG』がめちゃくちゃ流行っていて、みんなでやろうといわれていましたが、そもそもゲームが動きませんでしたね。起動はするけど、カクカクだしこれで大丈夫なのかな？　と思いながら遊んでいました。それであまり楽しくなかったので、LOLばかりプレイしていました。

LegionのPCならミスをその場でチェックできる「インスタントリプレイ」も快適に動く

――現在ゲーム配信で使用している機材はどんな感じでしょうか？

Lenovoから提供していただいたマシン、『Lenovo Legion T750i』を利用しています。読み込みの速さなど、これまで使っていたPCと比べてもスペックの違いが出ますね。配信もこれまではカクついていましたが、そうしたことも一切なくすごく快適です。

NvidiaのGeForce Experienceの「インスタントリプレイ」を利用して、スクリムや大会、練習中などリプレイ動画も撮っています。これまでのPCではすぐに容量が満杯になって、気が付いたら終わっていたということが、かなりの頻度でありました。

Legionのマシンではそうしたこともなく、「インスタントリプレイ」も快適に利用することができるので、その点も満足しています。

これまではPC関連のトラブルか多かったですね。そもそも、スペックが低いというのもありましたが。LOLをやりながらブラウザを開いたら重くなってしまうので、他に何かのアプリを起動するということはできませんでした。今はスラスラとなって、ストレスはなくなりましたね。

あとは、モニターの設定も細かくできるところがいいですね。たとえばブルーライトをカットすることができるので、ゲームを長時間遊んでも目が疲れません。そこも良かった点です。

――Washidai選手がPCに求めているスペックはどんな感じでしょうか？

LOL自体はあまりPCのスペックはいらないと思われがちですが、待ち時間中に動画を見たりデータを探したりといった感じで、平行して行わなければいけないことがあります。そのため、スペックはできるだけ高いに越したことはありませんね。

LOLは、長いときでマッチングに40～50分掛かることもあります。チャンピオン選択中などやることがあるため、ただゲームだけプレイしているわけではありません。ただLOLを遊ぶだけなら、そこまでのスペックは入りませんが、プロとなるとうまくなるためにやることがたくさんあります。そのため、一般のプレイヤーとプロとではPCに求めるスペックも変わってきますね。

――ゲームプレイを録画するのではなく、「インスタントリプレイ」を活用している理由はなんでしょか？

ミスして死んでしまったり、重要な場面があったりしたときに、Alt＋F10キーを押すと、直前までの動画が見られます。なんでこの集団戦で自分が負けたのだろうと気になったときに、試合中でもデスタイムが長いときは確認していますね。

――「インスタントリプレイ」を利用するのにも、高いPCスペックが必要ですか？

PCスペックは影響しますね。以前のPCでは、「インスタントリプレイ」を回しておくことができませんでした。ゲームをプレイしながら処理をして、その場ですぐ見られるというのは高スペックのPCでなければできません。もちろん、ゲームプレイにも影響しません。10秒ほどで切りとってくれてすぐに見ることができます。これができるのは、プロとしても大きなポイントですね。

試合が終わった後だと見落としてしまったり、忘れてしまったりといったことがあります。余計に時間が掛かり、効率も良くありません。ランクでミスをどれだけ減らすことができるかというのを重視しているので、「インスタントリプレイ」ですぐにプレイが見られるのは、高スペックPCならではの練習方法だと思います。

プロは努力ではなく結果が求められる

――プロ選手として心がけているところを教えていただけますか？

プロ選手は、常に結果が求められています。数は多かれ少なかれ、応援してくれている人がいます。このふたつは常に考えています。どれだけ自分が努力をして、影で練習していたとしても、結果が出なければ意味がありません。求められているのは、頑張っていることではなく結果です。努力の先にある結果だと思うので、勝負師ではありませんが中途半端や雑にはやらず、妥協しないようにしています。

基本的に個人練習はランクで行っていますが、自分よりうまい人や同等のレベルの人たちとマッチングします。そのため、自分に満足する瞬間がほとんどなく底が無い状態です。100戦して100勝することは絶対にありません。

――ちなみに、普段の練習はどのようなスケジュールになっているのでしょか？

今はシーズンオフですが、シーズン中は14時ぐらいまでに起きて、15時からチーム練習のスクリムが始まります。そこから3戦ほどプレイして、18時にご飯を食べて1時間ほど休憩。20時からまたスクリムで3戦ほどプレイして、22時ぐらいに終わりますが、あるときはその後も深夜スクリムで2戦ほどプレイします。その後は、個人練習のソロランクです。練習は少ない人は3時ほどで終わりますが、僕は長いときは朝8時ぐらいまでプレイしています。

春は休憩時間もプレイしていましたが、それだけフルで脳みそを活用していたら疲れがすごかったですね（笑）。生活の乱れもあり、休憩時間もプレイして脳がリセットされていない状態です。休日はヘッドスパにも通っていましたが、夏に入ってからはそれではダメだと思い、朝の6時頃には練習を切り上げるようにしました。そこからは、ヘッドスパに行く頻度も減って3日に1回から週1～2程度になり、疲れも解消されるようになりました。

――チームメンバーとのコミュニケーションで、大事にしているところはどんなところでしょうか？

試合中は、「やるかやらないか」を迷わずにハッキリさせるようにしています。LOLは、その瞬間が大事なゲームなので。たとえば、ドラゴンやオブジェクトを狙うか狙わないということを聞かれたときに、すぐに判断する必要があります。一瞬の遅れで、結果も変わってくるので意識していますね。

他のメンバーからも提案することがありますが、メインでゲーム展開を決めていくのはミッド・ジャングルです。その指示でやるかやらないか決めるという感じですね。

――ちなみに、必ずしもその提案がうまくいかないこともあると思いますが、うまくいかなかったときに仲間内でもめることはありますか？

もめるかもめないかでいうと、もめません。ミッド・ジャングルのプレイヤーも全てのことを知っている神ではありません。もちろん1番知識があるから担当していますが、たとえ間違った判断であったとしても、僕たちも「いいよ」と賛同しています。その時点で、連帯責任です。

ゲーム以外では、共同生活をしている中で、ビジネスとして割り切ってまったくメンバーと話さないチームもあという話を、ちらほら耳にします。僕らは結構仲が良くて、ご飯や買い物も一緒に出かけます。そこから生まれる連帯感や信頼関係もあり、それはやろうというよりも自然に出来ている感じですね。

負けている時に空気が悪くなることもありますが、そこは腹を割って話しています。深夜遅くなったときに、いろいろと悩みを聞くといったコミュニケーションも多かったですね。

――LOL以外に、LegionのPCで遊んでみたいゲームはありますか？

オフシーズンに入ってから、これを機に他のゲームを遊んでみようと思いました。『Rust』と『Apex Legends』をプレイしてみましたが、景色が違いましたね。これまでテクスチャーなどグラフィックの設定を最低にしないと動かない状態でした。それがどこまでもいけるような状態です。設定を最高にしても動きますし、もちろん低くしても動きます。設定を最高にしたときに、「今のゲームって、こんなに進化しているのか!?」と、びっくりしました。

ほかにやってみたいゲームとしては『PUBG』ですね。そもそも以前のPCは低スペックすぎて、まともに動いていない状態で撃ち合いをしていたので（笑）。『Apex Legends』をプレイしたときに、遠くにいる敵も見えて現実世界と変わらないか、それ以上のクオリティだったので。『PUBG』はもっとマップが広いですからね。あと、『タルコフ』もアカウントを持っていますが、うまく動かなかったので1回でやめてしまいました。なので、そちらも遊んでみたいです。

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――大学でマイクロソフトの『オフィス』を使われていたそうですが、どのような使われ方をされていましたか？

コロナ渦ということもあり、オンライン授業も多くなっていました。そのとき、資料や音声が入った『パワーポイント』が配布されていたので、そのときに見ていました。自分でレポートも作るのですが、そのときは『Word』を使うことが多かったですね。

あとは、リアクションペーパーでも『Word』を使っていました。大学の授業で統計学を学んでいましたが、そのときに『Excel』も使っていましたね。『Outlook』や、オンラインミーティングの『Teams』も使うことがありました。あと、契約の時に個人情報を入力するときにも利用しています。普段の書類のやりとりでも、結構使う機会は多いですね。

――『オフィス』は大学に入ってから使い始めた感じでしょうか？

そうですね。大学に入るまでは一切使っていなかったですね。大学に入ったときに、インストールしておいて欲しいと言われました。今の大学では、必須のソフトになっていますね。

――本日はありがとうございました。

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