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前世代機の上位モデル超えのハイパフォーマンス! 第12世代Coreプロセッサー搭載 <ThinkPad X1 Carbon Gen10>レビュー

i5モデルでも前世代のi7以上!

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レノボの<ThinkPad X1 Carbon Gen 10>は、言わずと知れたビジネス向けモバイルノートパソコンの定番機種だ。優れた性能各部の使いやすさ堅牢性の高いボディが多くのユーザーに支持され、2012年の初代モデルの発売以来高い人気を誇っている。

10世代目にあたる現行モデルは、CPUにインテル第12世代Coreプロセッサーを搭載している点が大きな特徴だ。ASCII.jp読者ならすでにご存じだと思うが、インテル第12世代Coreプロセッサーはこれまでの世代に比べて性能が大きくジャンプアップしている。たとえば<ThinkPad X1 Carbon Gen 10>で採用されているCPUのなかでもっとも下位のCore i5-1235Uでも、前モデルで使われていたインテル第11世代Core i7-1165G7を上回るほどだ。

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「CPU-Z」によるCore i5-1235Uの情報
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「GPU-Z」によるCPU内蔵グラフィックスの情報
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今回のテスト機(Gen 10)と筆者が過去に計測した前モデル(Gen 9)のベンチマーク結果。第12世代のCore i5-1235Uでも、第11世代のCore i7-1165G7を上回るスコアが出ている

この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、<ThinkPad X1 Carbon Gen 10>の使い勝手や実際のパフォーマンスについてお届する。


テスト機の主なスペック
CPU 第12世代 インテル® Core™ i5-1235U プロセッサー
(Eコア×8 最大 3.30 GHz Pコア×2 最大 4.40 GHz)
グラフィックス(内蔵グラフィックス) インテル® Iris® Xe グラフィックス
メモリー 16GB LPDDR5-5200MHz (オンボード)
ストレージ 256GB SSD(PCIe NVMe/M.2)
ディスプレイ 14.0型 WUXGA(1920 x 1200ドット),
IPS, 非光沢 , 100%sRGB, 400 nit, 60Hz
通信規格 Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n)、
Bluetooth 5.0
インターフェース USB 4ポート×2(Thunderbolt™4対応、PD対応、DisplayPort出力機能付き)、
USB3.2 Gen1 Type-A×2、HDMI出力、
マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャック
内蔵カメラ 1080p FHDカメラ、プライバシーシャッター付き
指紋センサー 電源ボタン兼用
サイズ/重量 およそ幅315.6×奥行222.5×高さ15.36mm/約1.12kg
OS Windows 11 Home(64bit)

完成された本体デザイン

<ThinkPad X1 Carbon>シリーズの外観は、2012年の発売から大きく変わっていない。そのときどきの流行を取り入れることで定期的にブラッシュアップはされているものの、「黒くて薄い14型」のスタイルはしっかりと受け継がれている。根っこの部分が変わらないのは、それだけ完成された設計であると考えていいだろう。世代によって細かな違いはあるが、数年前のモデルからの買い換えでも違和感なく移行できるはずだ。

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<ThinkPad X1 Carbon Gen 10>の本体デザイン

フットプリントは、A4サイズよりもひと回り大きい程度重さは実測で1.174kgだった。14型のモバイルノートパソコンとしては最小または最軽量ではないものの比較的コンパクトな部類で、妥協のない使い勝手と堅牢性が確保されていることを考えれば納得できる。

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フットプリントはおよそ幅315.6mm×奥行き222.5mm。14型クラスとしては比較的コンパクトだ
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重量は実測で1.174kg。モバイル向けには1kgを切る超軽量タイプの製品もあるが、このくらいの重さでも十分軽く感じる
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高さは公称値で約15.36mm。実測では16.2mmだったが、それでも十分薄い。ただし底面部のゴム足がやや高いので、設置時にはわずかな厚みを感じるかもしれない

実際に手で触れた際の質感も高い。カーボンファイバー(CFRP)製の天板は指紋の跡がやや残るものの、手触りが良く高級感は抜群だ。底面部はアルミニウムが使われているモデルもあるが、テスト機は軽量かつ強度の高いマグネシウム製だった。1kgを切る超軽量タイプの機種にはマグネシウムボディの肉厚が薄くベコベコした印象のものもあるが、<ThinkPad X1 Carbon Gen 10>ではマグネシウム部分でもたわみが感じられない。全体的に頑丈さが感じられる作りで、米国防総省制定の耐久基準「MIL-STD-810H」準拠はダテじゃないといったところだろう。

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高い質感と強度を備えるカーボン製の天板

インターフェースはUSB4(Thunderbolt4)端子が2基フルサイズのUSB3.2 Gen1 Type-A端子が2基HDMI出力マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャックの構成だ。最近のモバイルノートパソコンにはType-C端子のみの割り切った構成も見られるが、ビジネスシーンではまだType-A接続のUSB機器やHDMI入力の映像機器を使うシーンが多い。仕事で利用するなら、これらがしっかり用意されているほうが安心感がある。通信機能はWi-Fi 6E(理論値最大2.5Gbps)とBluetooth 5.0で、モデルによっては4G LTEまたは5Gに対応可能だ。

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本体左側面には、奥側からUSB4(Thunderbolt4)対応のType-C端子を2基、USB3.2 Gen1 Type-A端子、HDMI端子が配置されている
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本体左側面には、奥側からセキュリティースロット、USB3.2 Gen1 Type-A端子、マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャック
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キーボード上部の電源ボタンには、指紋センサーを内蔵
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ディスプレイ上部にはプライバシーシャッター付きのWebカメラ。ビデオ撮影は1080p 30Hzに対応している。カスタマイズ対応モデルなら、顔認証用のIRカメラや人感検知機能を追加可能だ

カスタマイズ対応モデルであれば、購入時にイーサネットアダプターやHDMI-VGA変換アダプターなどを追加できる。必要に応じて加えるといいだろう。電源アダプターは45WのType-Cが標準だが、65WのType-Cに変更可能だ。ただし使われているのはレノボの他の機種でも付属している汎用電源アダプターで、いまどきとしては大きくて重い。できれば、本機のようなハイクラス製品向けには、取り回ししやすい小型タイプのアダプターを用意してほしいところだ。

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電源アダプターはコネクターがType-C形状で、容量は45W。重さは実測で248gだった

クセはあるが入力しやすいキーボード

キーボードは、バックライト付きの日本語配列が標準だ。追加料金を支払うことで、英字配列に変更できる。キーピッチは約19mmと標準的だが、Enterキー周辺で一部のキーがわずかに小さい。この仕様は前モデル(Gen 9、2021年発売)からで、2020年以前のモデルから買い換える方は注意していただきたい。一部小さなキーは日本語入力時にはそれほど問題はないものの、プログラムやHTML/CSSを書く場合にはやや違和感があるかもしれない。コードをスムーズに入力するなら、この機に英字配列に移行するのもひとつの手だ。

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<ThinkPad X1 Carbon Gen 10>の日本語配列キーボード
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<Enterキー左側で、一部のキーが若干小さく作られている

タイピング感は、モバイルノートパソコンのなかでは上質な部類に入る。キーストロークの計測値は1.7mmを示していたものの、キートップに0.2mmほどのわずかなへこみがあるため、実際には1.5mm前後と考えていいだろう。1.8mm前後の機種が多いThinkpadシリーズのなかでは浅めだが、ノートパソコンとしては標準的な深さだ。スイッチにはブレがなく、指からの力が自然に伝わり確かなクリック感と共にキーがスッと沈み込む。押下圧はやや強めながらもそのぶん指を押し戻す力がしっかりとあり、軽快なタイピングが可能だ。タイプ音は指を打ち下ろすように入力しない限り静かで、周囲へ配慮する必要は特にない。

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キーストロークは1.5mm前後。キートップがわずかにへこんでいるため、入力時は指にフィットしやすい。ThinkPadシリーズとしてはタイプ感はやや軽いながらも、しっかりとした手応えが感じられる
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タイプ音は軽い力でも「タクタク」と聞こえるが、うるさくはない。ただし指を打ち下ろすようにして入力すると「タンタン」と大きく響くので、軽めのタッチ推奨だ

もちろん、ThinkPadシリーズの象徴とも言うべき"トラックポイント"も用意されているキー入力中から指を大きく動かすことなく、カーソルを操作できる点が大きな魅力だ。ユーザーのなかには、トラックポイントを手放せないためThinkPadを使い続ける人も多い。トラックポイント愛好家なら、従来と同じフィーリングで使えるだろう。使ったことがない方は、ぜひその快適さを体験していただきたい。

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ThinkPadシリーズの象徴とも言える「赤ポチ」ことトラックポイント

豊富なディスプレイのオプション

ディスプレイのサイズは14型で、画面比率は16:10だ。テスト機ではタッチ非対応のWUXGA(1920×1200ドット)タイプが使われていたが、カスタマイズ対応モデルではさまざまなタイプが用意されている。解像度だけでもWUXGAのほかに2.2K(2240×1400ドット)/2.8K(2880×1800ドット)/WQUXGA(3840×2400ドット)のパターンがあり、さらにタッチ対応/非対応、IPSパネル/OLEDパネル、光沢のあり/なし、プライバシー保護機能の有無などでわかれている。すべての組み合わせを選べるわけではなく用意されているのは7パターンのみだが、ノートパソコンとしてはオプションがかなり多い

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ディスプレイは14型のアスペクト比16:10。ベゼルが細く、画面周りがスッキリとしている

ディスプレイの色域はWUXGA/2.2Kタイプが100%sRGBで、2.8K/WQUXGAの高解像度タイプが100%DCI-P3とされている。テキスト中心の作業で利用するなら、光沢なしの100%sRGBタイプがもっとも見やすい。鮮やかな映像を堪能したいなら2.8KのOLEDタイプデザインなどに利用するなら最も解像度が高いWQUXGAタイプが最適だ。

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テスト機は100%sRGBのWUXGA(1920×1200ドット)タイプ。スマホやタブレットほどではないものの、ノートパソコンとしては高品質な鮮やかさだ。光沢なしだと映り込みが生じないため、長時間作業しても目が疲れにくい
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最近流行の16:10ディスプレイではあるが、1920×1200ドットではガッツリ作業するのにやや狭い印象を受ける。解像度が高いと作業効率はアップするものの、バッテリー消費量が増えるので悩ましいところだ。筆者としてはバランスのいい2.2Kをおすすめしたい

インテル第12世代Coreプロセッサーの高いパフォーマンス

続いて、<ThinkPad X1 Carbon Gen 10>の性能の目安となる各種ベンチマークテストの結果をご覧いただこう。テスト機の構成はCPUが第12世代インテルCore i5-1235U(Eコア×8 最大3.30GHz Pコア×2 最大4.40GHz)で、メモリーは16GB LPDDR5-5200MHz(オンボード)、ストレージは256GBのPCIe NVMe/M.2 SSD、グラフィックスは、CPU内蔵のインテルIris Xeグラフィックスだ。

CPUベンチマークソフトの定番「CHINEBENH R23」の結果は、マルチコアのスコアが「7675」で、シングルコアのスコアが「1587」だ。冒頭でもお伝えしたが前モデルで使われていた第11世代のCore i7-1165G7と比べると、シングルコアではスコアが13%アップマルチコアではスコアが55%アップしている。<ThinkPad X1 Carbon Gen 10>のなかではもっとも性能が低いはずのCore i5-1235Uでも、最大で前世代Core i7の1.5倍ということだ。第12世代Coreプロセッサーが、いかにパワフルであるかおわかりいただけるだろう。

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「CHINEBENH R23」の結果

<ThinkPad X1 Carbon Gen 10>のカスタマイズモデルは、9種類もの候補のなかから好みのCPUを選択可能だ。主要な選択肢で順位を付けると、性能的はCore i7-1280P>Core i7-1260P>Core i5-1240P>Core i7-1255U>Core i5-1235Uといったところ。PシリーズはEコアが多いぶんマルチコア性能に優れ、Uシリーズは消費電力が低いぶんバッテリー性能が高い。筆者としてはバランスに優れるCore i5-1240Pがおすすめだが、パワーを追求するならCore i7-1260PやCore i7-1280Pを選ぶのもアリだ。企業向けの管理ソリューションで利用するなら、vPro対応CPUを選びたい。

PCの総合的な実務性能を計測する「PCMark 10」では、快適に使える目安となる基準値を大きく上回っている。特にCPUのシングルコア性能が強く影響する「Essential」(アプリの起動やビデオ会議、Webブラウジングなどの一般的な操作)のスコアが優秀だ。グラフィックス性能とマルチコア性能が影響する「Digital Contents Creation」(写真加工や動画編集、3D制作などのクリエイティブワーク)も十分だと言っていい。ただし「PCMark 10」の各テストは、処理が比較的軽め。特に「Digital Contents Creation」に関しては一般ユーザーが行なう作業の範囲内では十分だが、プロレベル/エンタープライズレベルの指針とはならないので注意していただきたい。ビジネスユースであれば、まったく問題ない性能だ。

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「PCMark10」の結果

「PCMARK10」スコア
テスト 基準値 ThinkPad X1 Carbon
Gen 10
Essential 4100 9803
Productivity 4500 6984
Digital Contents Creation 3450 5754

3Dグラフィックス性能を計測する「3DMark」では、DirectX 12+WQHD(2560×1440ドット)環境下のフレームレートなどを計測する「Time Spy」を使用した。結果は総合スコアが「1419」で、グラフィックススコアが「1248」。第11世代CoreプロセッサーのIrisi Xe Graphicsとあまり変わらない結果だが、CPUがCore i7シリーズであれば多少はスコアがアップするだろう。Core i5系は内蔵グラフィックスの実行ユニットが「80」で、「96」のCore i7シリーズよりも少ないためだ。

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「3DMark」Time Spyの計測結果

ストレージ性能を計測する「CrystalDiskMark」の結果は、以下の画像のとおり。PCIe Gen4 x4接続としてはシーケンシャルライトが低速なのだが、これはテスト機で使われていた「WD SN740」シリーズ256GBモデルの公称値(シーケンシャルリード4000MB/秒、シーケンシャルライト2000MB/秒)とほぼ同じ。512GB以上の容量だと公称値でシーケンシャルライトが4000MB/秒以上なので、容量の多いSSDを選ぶのがおすすめだ。

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「CrystalDiskMark」スコア

ただし負荷の高いテスト(64GiBのデータを9回書き込み)を連続2回行なったところで、アクセス速度の低下が見られた。おそらくSSDのサーマルスロットリングが生じているものと思われる。実作業でそれほど大量のデータにアクセスすることはめったにないのだが、大容量SSDを激しく使うと熱で速度が低下する可能性については留意しておきたい。

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「CrystalDiskMark」高負荷時のスコア

前述の「PCMark 10」を使ってバッテリー駆動時間を計測したところ、テスト開始から14時間12分でバッテリー切れとなり休止状態へ移行した。公称値では「最大 約24.9時間」とされているがこれはバッテリー消費量をかなり抑えた状態での結果であって、実作業レベルでの駆動時間を表わすものではない。今回はややバッテリー消費量の大きい状態でテストを行なったため駆動時間は公称値よりも短いが、それでも14時間もつなら十分だと言える。ディスプレイの明るさや電源プランなどを変更すれば、もう少し駆動時間が延びるだろう。

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「PCMark 10」Battery-Modern Officeの結果

バッテリー駆動時間テストの条件

  • Windows 11の電源プランを「バランス」に設定
  • 電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定
  • 画面の明るさを40%に設定
  • 音量ボリュームは50%に設定
  • Wi-FiとBluetoothはオン
  • Windows 11の「バッテリー節約機能」は残量20%で有効化(標準設定)

総合力の高い理想的なモバイルノートパソコン

ここまでお伝えしたとおり、<ThinkPad X1 Carbon Gen10>は性能面でもデザイン面でも、そして使い勝手や堅牢性においても高いクオリティーを実現している。各要素で見た場合、モバイル向け製品のなかでは最軽量でもなく最小でもなく、また最高性能でもない。だがすべての要素がここまで高い水準でバランスしている機種はなかなかないだろう。モバイルノートパソコンとして確固たる地位を築いているのも、納得できる仕上がりだ。

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総合的な完成度の高いハイエンドモバイル

唯一気になるのは、値段が高い点。いくら品質面に優れるとは言え、Core i5-1235U搭載で20万円台からは、支払いになかなか勇気のいる金額だ。かと言ってスペックを抑えて安くあげるのも、このクラスのハイエンド機には意味がない。8GBメモリーですまそうなんて、もってのほかだ。

筆者としてはむしろ逆に、ハイスペック構成に振り切ったほうが後悔はないと考えている。たとえばCore i5-1240P/16GBメモリー/512GB SSD/2.2Kあたりなら27~28万円台だが、長期間使う上でもパフォーマンスは十分だろう。Core i7-1260P/32GBメモリー/512GB SSD/2.8K OLEDの<ThinkPad X1 Carbon Gen 10 30th Anniversary Edition>は33万円だが、ほかでは得られない確かな満足感があるはずだ。新規で購入を検討する方も買い換えを検討している方も、下手に妥協せずド~ンと盛々スペックにチャレンジしていただきたい。


テスト機の主なスペック
CPU 第12世代 インテル® Core™ i5-1235U プロセッサー
(Eコア×8 最大 3.30 GHz Pコア×2 最大 4.40 GHz)
グラフィックス(内蔵グラフィックス) インテル® Iris® Xe グラフィックス
メモリー 16GB LPDDR5-5200MHz (オンボード)
ストレージ 256GB SSD(PCIe NVMe/M.2)
ディスプレイ 14.0型 WUXGA(1920 x 1200ドット),
IPS, 非光沢 , 100%sRGB, 400 nit, 60Hz
通信規格 Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n)、
Bluetooth 5.0
インターフェース USB 4ポート×2(Thunderbolt™4対応、PD対応、DisplayPort出力機能付き)、
USB3.2 Gen1 Type-A×2、HDMI出力、
マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャック
内蔵カメラ 1080p FHDカメラ、プライバシーシャッター付き
指紋センサー 電源ボタン兼用
サイズ/重量 およそ幅315.6×奥行222.5×高さ15.36mm/約1.12kg
OS Windows 11 Home(64bit)

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