美術大学とのコラボレーションで生まれたLenovoPlay―STEAM教育の多様性を広げるチャレンジ

Bill Adams、IDG PCSD Communications Manager for Smart Verticals
(こちらの記事は米国レノボで2020年3月17日に公開された記事を翻訳したものです)

すべてのテクノロジーが、同じような経験とアイデアを持つ人のみによって作られたとしたら、どうなるでしょうか?左利きの人に使いづらいキーボードになったり、体型やヘアスタイル・身体障がいに適していないウェアラブルデバイスとなったりしてしまい、ユーザーエクスペリエンスがよくない世界になってしまうでしょう。これらの身体的特徴は人間らしさそのものといえ、除外するわけにはいきません。人工知能(AI)などのケースで、同じような経験とアイデアを持つ人のみによって作られた場合、偏見につながりコミュニティから疎外されるようになるなど、結果はさらに悲惨になるかもしれません。

様々な人々の体験をソリューションに活かすことにより、テクノロジー多様性とインクルージョンが広がり、より良い顧客体験や満足感を生み出します。それこそが本当の「Smarter Technology For All」といえるでしょう。

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小学校での研修の様子(写真提供:SCAD)

レノボのミッションであるSTEAM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、芸術、数学)教育に多様性をもたらすために、アメリカジョージア州にあるサバンナ美術大学(SCAD)とコラボレーションし、あるデバイスの作成にチャレンジしました。だれもが楽しくSTEAMスキルを構築できるワーキングゲーム、LenovoPlayです。

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LenovoとSCADの学生チームによるワークショップ製品開発(写真提供:SCAD)

SCAD学生チームによるアイデアのひとつは、当初考えられていた10歳から14歳ではなく、8歳から12歳の学生を対象に製品をターゲットにすることでした。いわゆる学童期のこども達は、新しい科目にチャレンジしようとする傾向があります。しかし、7年生と8年生(日本の中学1・2年生に相当)までに、こども達は自分の能力に気づき、失敗を恐れる傾向が出てきます。つまり、すでに数学が苦手だと信じてしまっている場合、彼らは楽しい数学プロジェクトには参加しない可能性があるのです。
これらのことを念頭に置いて、SCAD学生チームは、Lenovoの指導のもと、フレームワークを作成しました。

解決策は次のとおりでした。

Representative (わかりやすいものであること)
–すべての学生が理解しやすく、協力的な体験ができること
Safe Place to Explore (安全に探究できる場所であること)
–失敗は遊んだり学習することに必要な要素であるため
Personalized Experience (パーソナライズされた体験であること)
–現実に役立つ内容で、関わりあいがあり、記憶に残る学習の機会となること
Interactive Play(相互的にかかわれる遊びであること)
–STEAMを日常生活に根付かせるために物語ベースの楽しい方法となること

その結果できたプロトタイプが、Lenovo Playでした。これは、STEAMを通して子供たちの創造力を強化できる、スクリーン・トレイ・ブロック・デジタル体験・アプリの5つのアイテムを使って行うゲームです。

シンプルに見えますが、各ブロックは子供のコンピューターの画面上または拡張現実(AR)セットを使って、さまざまなものに変化します。このことにより、子供たちがゲームのストーリー中で作成する内容で大きく変化していく、ダイナミックな学習を可能にします。

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Lenovo Playプロトタイプ(写真提供:SCAD)

Lenovo Playは、子供たちが未来を築くための創造性とスキルを得られるように設計されています。プレーヤーは、人々のためのテクノロジーを開発し、現実世界の問題を解決する課題を与えられます。例えば、生活に必要な井戸や家から、より複雑なソリューションとなる、橋やソフトウェアコード、さらにはスーパーコンピューターまであります。

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Lenovo Playデジタルエクスペリエンス(写真提供:SCAD)

Lenovo UXデザインディレクターであるクリストファーオズボーンは、次のように述べています。
「インクルーシブデザインを実現するために、レノボでは製品の開発からテストのあらゆる段階において、多様なグループのSTEAM人材を必要としています。
SCADプロジェクトのようなパートナーシップのおかげで、斬新な発想でイノベーションを起こすためにSTEAMキャリアを多様な次世代の学生にとって魅力的にしていこうと、私たちも感化されました」

嬉しいことに、Lenovo Playの取り組みがきっかけとなり、レノボでも新しい同僚を迎えることができました。このプロジェクトに携わっていたチームメンバーが、グローバルデザイナーチームに加わったのです。彼女はこの春学校を卒業し、「Smater Technology for All」を実現するためにレノボで活躍しています。

技術とクリエイティブはすべてのテクノロジーの次世代デザイン思考を刺激します。Lenovo Playでの経験がポジティブにつながっていくことを願っています。