ThinkPad X1Fold│PCのまったく新しいカテゴリが世界を変える


ジェリー・パラダイス、
レノボ PC & スマート・デバイス・グループ コマーシャル・ポートフォリオ部門バイスプレジデント、
(この記事は、2020年9月29日に米国レノボで公開された記事を翻訳・加筆したものです)

「小型化」は新しい概念というわけではありません。実際、さまざまな業界でも実現されていることのひとつですが、テクノロジー部門ほど求められている業界はないと言えるでしょう。パーソナル コンピューティングのごく初期の頃から、世界中のエンジニアは、速度とインテリジェンスの向上だけでなく、小型化と携帯性の向上にも注力してきました。ポータブル パーソナル コンピューティングへの移行が本当の意味で実現したのは、ThinkPad 700C が登場した 1992 年です。いつの時代にも通用する黒い弁当箱デザインにリヒャルト・ザッパー氏が構想した赤い TrackPoint が付属していました。しかし、ラップトップ(ノートPC)をさらに小型化しようとしても、デバイスの効率が低下し、今日の厳しい作業環境にはマッチしませんでした。

今回は革新的なカテゴリともいえる世界初の折りたたみ式 PC、ThinkPadX1Foldについてお話します。

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3 年前、クリスチャン・タイスマンがニューヨーク市で開催されたレノボ イベントで折りたたみ式のコンセプトを発表しました。レノボはこのコンセプトを市場に投入することに注力し、昨今の世界的な不確実性の中でも、今こそこの約束を果たすときだと強く感じています。

ThinkPad X1 Foldについて、強調しておきたい点があります。X1 Fold はラップトップ(ノートPC )ではありません。すべての人を対象としたデバイスになる設計ではありません。そのコンセプトは、コンピューティングの未来を示し、実現できる可能性を示すことです。折りたたみ式のカテゴリ全体がパーソナル コンピューティング テクノロジーの考え方と使い方を見直し、再形成するきっかけとなり得るでしょう。折りたたみ式のディスプレイは、すべてのディスプレイ カテゴリの未来であり、その可能性は非常に大きなものです。

X1 Fold とは?

ラップトップ(ノートPC)でないなら、何なのでしょうか?X1 Fold にもっとも適した表現は、環境に適応するパーソナル コンピューティング デバイスのカメレオンのような存在です。あなたが今読んでくださっているような原稿を書いているのであれば、ラップトップ(ノートPC)にできます。開いてスタンドを立てて、自宅やオフィスの USB-C ドックとマルチモニター設定に接続し、仕事に取りかかることもできます。これまでの PC の機能をすべて利用することができます。


では、ラップトップ(ノートPC)なのでしょうか?いいえ、それ以上です。
特に移動中の機能は充実しています。ブック型に折りたたんで、左側に LinkedIn、右側に Twitter を開き、チェックすることができます。リラックスのために電子書籍を読むこともできます。
時には、上司からのメールを受信することもあるでしょう。X1 Fold をすばやくラップトップ形式に変え、ディスプレイの上半分でビデオ会議に接続し、下半分でプレゼンテーションを確認しましょう。ペンを使用して、重要な注釈を加えることもできます。
あるいは、ソーシャルディスタンスを適切に保った対面形式の会議に参加することもあるでしょう。X1 Fold をタブレットスタイルに開けば売上追跡を 13 インチ ディスプレイに表示でき、同時に会議室の大型モニターにも接続することもできます。
また、空港に行く途中で 5G を利用して家族とビデオで対話したり、搭乗を待つ間にお気に入りの番組をストリーミングしたりすることもできます。

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いろいろな使用例いかがでしたか?ひとつのパーソナル デバイスがさまざまな用途に合わせて変形し、画面サイズ、耐久性、パフォーマンス、汎用性などを損なうことなくシナリオに適応できるのです。

どのような用途がある?

ラップトップ(ノートPC)のパワーとディスプレイサイズを備え、半分に折りたたむことができるデバイスには、さまざまな可能性があります。

あなたが医師や看護師なら、病棟から病棟へ、さらには病院から病院へと移動するときにそのパフォーマンスと携帯性が役立ちます。


建設現場で働く方なら、使用中の資材、資産、および労働力を管理できます。
高度に機械化された農業では、軽量で小さなフォーム ファクターだけでなく、衛星画像をリアルタイムで提供してくれる 5G 接続の恩恵を受け、作物に関するニーズをより適切に判断できるでしょう。
船舶では、船長は上部のディスプレイで乗組員名簿や貨物の積荷目録に簡単にフルアクセスし、下部のディスプレイには、航海計画と道中の天気予報を表示できます。どの業界でも、折りたたみ式デバイスの恩恵を受ける方は間違いなく存在するでしょう。

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妥協点は?

あえて言うのであれば、先駆的なイノベーションを導入するプレミアム デバイスへのお客様の期待と、革新的なテクノロジーのための高価格が合致するスイート スポットを見つけることでしょう。そこ以外に妥協点はほとんどありません。スイート スポットには、コンセプトと開発プロセスにおける調査、顧客に関するインサイト、フィードバック、試行錯誤を経て到達します。これは今までとは全く違う、新しいものです。そのため、学び、試し続ける必要があります。

実際、最適なスクリーン サイズについて正確にはわかりません。現在の調査によると、13 インチは複数の機能を実行するデバイスにとってのスイート スポットであり、折りたたんだとき、サイズと重量の面で最良の妥協点が得られ、真の携帯性が実現します。将来的には、さまざまなニーズや用途に対応するために複数のスクリーン サイズが登場することが十分に予測されます。ただし、お客様に関するフィードバックとインサイトでは、パフォーマンスや生産性の妥協を受け入れないことが明らかになっています。この点は、主要なパートナーの評価と選択における重要な要素となりました。インテルおよびそのハイブリッド プロセッサー テクノロジーとの連携は、さまざまなタスク間で電力とパフォーマンスの管理バランスを適切に保つうえで重要であり、LG ディスプレイは耐久性のある折りたたみ式ディスプレイ テクノロジーを開発する助けとなりました。

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お客様は、分かりやすさと使いやすさも望んでいます。また、オペレーティング システムへの慣れが優勢になることがよくあるため、Windows 10 の選択は簡単に決まりました。しかし、そのバージョンは、市場投入時期の予測に対応するために、最終的に可用性に基づいて決定されました。さまざまな運用モードを管理し、ユーザーエクスペリエンスを可能な限りシームレスにするために、特定のソフトウェアを開発する必要がありました。

これで完ぺきでしょうか?完全に新しいカテゴリ向けに設計されていなければ、オペレーティングシステムはどれも完ぺきではありません。それでもユーザーエクスペリエンスは極めて良好です。Windows の将来のバージョンでは折りたたみ式カテゴリが十分に活用され、独自のインタラクションがさらに強化されると期待されます。

完ぺきなデバイスと言えるの?

一部の人にとっては、間違いなく完ぺきでしょう。12 年前、ThinkPad X300 がBusiness Weekの表紙に登場しました。その見出しは「完ぺきなラップトップの構築」でした。2020年になった今、X1 Fold が完ぺきなデバイスだと考える人もいるでしょう。

価格についても話題になっていますが、そこは考慮すべき点が多くあります。革新的な折りたたみ式ディスプレイは安くはありません。このようなデバイスは製造コストが高額になります。先に述べた ThinkPad X300 の基本構成の開始価格は 2,500 ドル弱でした。それを考慮すると、PC デバイスとしての初のカテゴリで 2,499 ドルからスタートする X1 Fold はそれほど悪くはないと思います。

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ただし、まったく新しいカテゴリを世界に導入する際に明示すべき重要なものは、エンジニアリングの驚異や魅力的なデザインだけではありません。開発には、ユーザーエクスペリエンス グループを含め、人々のエコシステム全体が関与します。まったく新しいテクノロジーに対しては、一般の人々からの反応はよくても無関心、冷ややかであることもあります。通常、人間は本質的に変化を嫌うものです。しかし、歴史を振り返ると、大きく変化した実例は数多く見られます。結局のところ、物事の進め方、受け止め方、楽しみ方を本当の意味で変えるものは成功するでしょう。

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開発ストーリーはこちらの動画(日本語字幕)よりご覧いただけます。