Lenovo ThinkPad が切り開く自動化の未来

危険な仕事や単調な仕事を自動化ソリューションによって処理できれば、労働者の安全性と意欲が高まり、より良い社会が実現するのではないでしょうか。

そこで、Yeti Snow Technology プロジェクトが立ち上げられました。これは、スウェーデンの大手テクノロジー企業である Semcon 社と、ノルウェーの除雪機市場を 90 年以上リードし続ける Øveraasen 社の共同プロジェクトです。この革新的な事業によって世界初の自動運転除雪車が誕生し、猛吹雪に悩まされる街と、そこに住み、働く人々の生活を一変させようとしています。

RS49941_original

冬の天候に対処する上でもっとも厄介な問題の 1 つが、歩道や車道、空港の滑走路などのインフラを通常どおりに使用できるよう、効率的かつ確実に除雪を行うことです。シニア・ソフトウェア・エンジニアを務める Phat Tan Truong 氏は、「雪の中で空港を通常通り運営するために除雪に膨大な時間が費やされており、また降雪に備えて多くの人員を待機させておく必要があります」と述べています。雪に備えて警戒態勢を維持することは非効率的であるだけでなく、労働者の不満を高め、予算も圧迫します。また、雪が降る滑走路は極端な低温、視界不良、強風など、パイロットにとって危険な条件がそろいます。

Yeti の自動運転除雪車があれば、空港で 1 時間あたり約 570 平方キロメートルもの除雪を、状況に応じて、場合によっては深夜でも行うことができます。これは空港にとって時間と費用を節約できるだけでなく、利用者の安全とフライトの遅延防止にもつながります。

RS49938_original

しかし、当然ながら、幅がおよそ 5 メートルにもなる車両を無人で安全かつ確実に動かすことは容易ではありません。シニア・プロジェクト・マネージャーを務める John Emil Halden 氏も、このアイデアが当初はありえないと思われていたことを認めています。Semcon 社内でも「とりあえずやれるだけやってみよう」という雰囲気だったといいます。Halden 氏のチームは、何度も同じ作業を繰り返しながら、ほぼ 3 年を開発に費やしました。開発には、各車両のコンピューター制御されたブレーキとハンドルへの改造から、総合制御システムの使いやすいグラフィカル・インターフェイスの設計まで、あらゆる作業が含まれていました。

RS49939_original

Halden 氏とそのチームは、開発の全段階で、作業のサポートとテストに Lenovo ThinkPad を使用しました。車両自体に自動運転ソフトウェアが組み込まれてはいますが、システムのテストとデバッグは ThinkPad で行われました。エンジニアは、実地テストでコントロールを受ける側の変数を管理するための強力なポータブル PC を必要としていました。Halden 氏は次のように述べています。「車両操作用のモバイル端末として、レノボのノートPCを使用しました。モバイル性能の高いコンピューターは使い勝手が良く、車両内でも使用できますし、どこでも立ったまま操作できます。特に我々の仕事では、PC に信頼性と堅牢性が求められます」

RS49940_original

Semcon の部門マネージャーを務める Hans Peter Havdal 氏にとって、ThinkPad はパフォーマンス面で最適の選択でした。同氏は ThinkPad を顧客向けのデモなどに使用し、良い製品で満足していると述べています。

Semcon が目指す未来を考えると、同社は自動化技術に関する研究のまさに最先端にいます。Havdal 氏は「まだスタート地点に立ったばかりで、可能性は大きく広がっていると思います。現時点では想像すらできないことが実現する可能性もあるのです」と述べています。Yeti の除雪車は、このテクノロジーが持つ可能性の 1 つを示しているにすぎません。Yeti の自動運転車両用オペレーティング・システムが完成すれば、港の輸送用コンテナなど、他の産業用途にも応用できる可能性があります。

RS49942_original

Semcon は、働き方の未来を切り開く中で、そのテクノロジーが社会にもたらす影響力についても常に気を配っています。Truong 氏によると、自動運転車両の可能性を目にした人々の反応はこれまでおおむね好意的とのことです。

自動運転車両は、騒音レベルや危険性が高い製造現場など、厳しい環境下における人的作業を不要にするだけでなく、その効率性と信頼性が労働面以外にも波及効果をもたらします。コスト効率の高い車両によって空港の除雪を支援する Yeti のミッションを例にとってみましょう。Havdal 氏は次のように述べています。「空港の操業コストを削減することで、これまでであればコストがかかりすぎるため閉鎖せざるを得なかった小規模の空港も操業し続けられるようになります。小さなコミュニティにとって、空港を失うことは大きな痛手です」すなわち、空港の運用を維持することは、航空会社や空港だけでなく、空港を重要なライフラインとする遠隔地やサービスの行き届かない地域のすべての住民に利益をもたらすのです。

RS49937_original

当面、Semcon のチームは Yeti テクノロジーのパイロットモデルの開発に全力を注ぎます。チームはこの冬も引き続きテストを重ね、2021 年中には自動運転除雪車の市販が開始される予定です。

※本原稿はレノボ本社広報サイトの原稿を抄訳したものです。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語を優先します。https://news.lenovo.com/driving-towards-the-future-of-applied-autonomy-with-lenovo-thinkpads/