An elderly woman sitting and wearing a Lenovo Mirage Solo VR headset
老化

認知症にLenovo VRアプリが貢献

認知症の人を介護する際には、患者は記憶を取り戻す手助けが必要であり、そして介護者は患者の体験を理解する手助けが必要であるという2つの大きなハードルがあります。スコットランドのグラスゴーにあるVRコンサルタント会社Pivotal Realityは、Lenovo Mirage Solo VRヘッドセットを使用して、認知症患者の記憶力を回復しケアを改善するための、共感性の高い移動型体験を実現しています。

私たちは皆、記憶を失うものです。イメージはゆっくりと焦点を失い、年齢とともに写真のように細部がぼやけ黄ばんでいきます。このプロセスは、病気を抱えて生きている人にはさらに急速に起こります。

 

認知症患者の場合、記憶は砂時計の砂のように消えていき、新しい刺激がないことから症状は悪化します。新しいインプットがなければ、認知症患者の思い出す能力はさらに低下します。そして介護者は、問題を抱えた患者の経験を完全には理解できないことが多いものです。認知症の症状を研究して観察してきても、実際に体験するまでは認知症の限界を完全に想像することは難しいのです。リー氏が、認知症患者の記憶力回復に役立ち介護を改善するVR (バーチャルリアリティ) に注目しているのは、そのためです。

先端技術コミュニティでは何年もVRの可能性が謳われていましたが、利便性と価格の問題に加え、誤った情報が流れていたこともあり、広く普及されてはきませんでした。そこでリー氏は、グラスゴーに拠点を置くVRコンサルタント会社Pivotal Reality出典を立ち上げ、VRが認知症に苦しむ人々にとっていかに使いやすく、必要不可欠なものであるかを示すために取り組んでいます。驚異的なことに、Pivotal Realityは、人々が古い記憶を思い出すだけでなく、彼らの動揺を減らし介護者との交流を改善することにも役立っています。一部の認知症患者にとって、VRインターフェイスは世界への生命線なのです。

リー氏にとって「没入できる回想」を促すという使命は、テクノロジーの限界を押し広げること以上の意味があります。2人の祖母が両方とも生前に認知症と闘っていたという、個人的な経験から来る想いがあったのです。彼女は介護の両当事者間の理解のギャップを目の当たりにしてきました。そしてその隔たりこそ、LenovoとPivotal Realityが埋めようとしているものです。


Lenovo Mirage Solo VRは、周囲の様子が見えなくなるよう設計された独立型のVRヘッドセットで、患者と介護者の両方に共感を与える体験を提供することができるようになっています。このVRヘッドセットを使用することで、苦しんでいる認知症患者を晴れた日のクライド川のほとりやスイスのアイスリンクのような別の現実へと誘い、刺激とリラクゼーションを与えることができます。老人ホームでのつらい一日が、遠く離れた場所でのリラックスした午後のひとときになるのです。

しかもこの革新的な技術を搭載した機器は、非常に簡単に使えます。外部センサーを必要とせずに空間の動きを把握するため、利用者は不便なインターフェースを操作することなく、完全で自由な可動域を楽しむことができます。

 

「利用しやすさは重要で、介護施設は多額の費用がかからないソリューションを必要としています」と言うリー氏。「ですから、Lenovo Mirage Solo VR のようなワイヤレスヘッドセットは、私にも私の介護業務にとってもベストなソリューションでした」彼女は最近、スコットランドの高地にヘッドセットを持って旅行に行ったといいます。

Two men working on laptops in a computer server room

認知症患者だけがVRアプリの恩恵を受けているのはではありません。VR技術は、認知症が人々の生活に与える影響について認識を高めるための素晴らしいツールにもなります。Alzheimer's Research UK出典によれば、介護者は、VRヘッドセットを装着して認知症患者の経験をシミュレートすることで認知症の人の身になることができ、具体的な洞察を得ることができるといいます。バーチャルリアリティで提示されるシミュレーションで、自分がいる場所やそこにいる理由を忘れてしまうと、日常的な活動も恐ろしいほど混乱を招くタスクになってしまう、ということが理解できるのです。

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VRヘッドセットを使用することで、苦しんでいる認知症患者を別の現実へと誘い、刺激とリラクゼーションを与えることができます。

「Pivotal Realityを医療従事者、介護者、家族に使ってもらうことで、業界全体が大きく変わる可能性があります」とリー氏は言います。

 

リー氏は、初めてVRを認知症支援グループに持ち込んだ時のことを覚えています。最初は、何か間違ったことをしたのではないかと思ったそうです。一般的なビーチ体験をヘッドセットにロードしてマーガレットという患者に装着したところ、数分後に泣き出してしまいました。

リー氏には分からなかったのですが、そのヘッドセットが見せた光景で、マーガレットは家族で過ごした幼い頃の休日の思い出に連れ戻され、兄と砂の上ではしゃぎまわっていたのでした。その思い出は、彼女が忘れてしまっていたものでした。しかし最近兄を亡くしたという事実から、その思い出はなおさら大切なものとなったのです。

「私は鳥肌が立ち、その瞬間にVRが回想に役立つ強力なツールであることが分かりました」とリー氏は語ります。「それ以来、私はこの道を歩み続けています 」