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初心者向け「アニメーション作品のルックのつくり方」
セッションレポート!京都精華大学准教授・坂本拓馬氏が、
エントリー層向けゲーミングノート「Legion 550i」を検証

レビュー:坂本拓馬
執筆:高橋克則

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はじめに

CGWORLD主催のオンラインイベント「CGWORLD JAM ONLINE 2021」は3月11日から13日までの3日間行われた。開催2日目のスキルアップセッション「The SKILLUP:【入門/基礎】アニメーション作品のルックはどうつくる?」には京都精華大学アニメーション学科の坂本拓馬准教授が登壇し、アニメーション表現に求められる技術について解説した。

2020年初頭から続く新型コロナウイルスの流行によって、教育機関ではオンライン授業が積極的に導入される一方、3DCGのカリキュラム実施に必要となるPCスペックの選定に迷う教育機関関係者や学生も多いだろう。
本セッションでは「アニメーション作品のルックはどうつくる?」の講演に加え、教育機関におけるCG教育における適切なPCスペックについても紹介。坂本氏がLenovoのゲーミングPC、17.3型ノートPC「Legion 550i」を実際に使用し、2018年公開の映画『ムタフカズ -MUTAFUKAZ-』(以下、ムタフカズ)のデータを用いてパフォーマンスを検証してもらった。

今回使用した検証機

3DCGカリキュラムに推薦! 坂本拓馬氏検証 ゲーミングPC「Legion 550i」

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パート1:画面設計によって作品はどう変わるのか?

セッションのパート1では「画面設計」というセクションの重要性を取り上げ、アニメーションにおけるルックの考え方を解き明かしていった。画面設計の仕事内容について、坂本氏は「作画、背景、3DCGを組み合わせて最終的な完成イメージを決める重要な工程」で、「最終的なイメージを早い段階で共有するため」のものだと説明する。

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日本のアニメは完全分業制によって成り立っており、作画、背景、3DCGは異なるクリエイターが手がけていることがほとんどだ。それらの素材は別々に仕上がるため、最終的にどんな画面になるのかは、撮影(コンポジット)のセクションで合成してみるまでわからないことが多い。最悪の場合、ラッシュチェックの段階で目指していた画面にならないことがわかり、すべてがリテイクになってしまうという事態も起こりうる。そんな状況を避けるために、スタッフの間で完成映像を共有しておく必要があるのだ。

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画面設計を手がける上では「素材を組み合わせてひとつの世界観を作る」という演出的視点が欠かせない。カット単位の見映えを気にするのではなく、作品のテイストや監督の意向を考慮した上で、シーン全体を通してバランスの良い絵作りを心がけることがポイント。どんな場合も同じ処理をするのではなく、シチュエーションを把握することが成功の鍵を握っている。

坂本氏はムタフカズの作業風景を見せながら、画面設計をどのように行なったのかを解説した。たとえばカーチェイスのカットでは、シチュエーションから「夜」、「ハイウェイ」、「街灯」、「車のライト」、「ガラス」などの要素を抽出。車のライトの印象を強くするためレンズフレアを加えたり、車のガラスの質感を出したりと、方針を固めていった。Before/Afterで映像を見比べてみると、その仕上がりは一目瞭然である。

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    ムタフカズ c735 カーチェイスシーンの画面設計【Before】
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    ムタフカズ c735 カーチェイスシーンの画面設計【After】

画面設計の効果は派手なアクションシーンだけでなく、叙情的なシーンでも発揮される。ムタフカズの回想シーンでは「抽象的」などのオーダーから、画面にゆがみ処理を追加した。それによってどこか温かみがあり、ノスタルジックな仕上がりになった。

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    ムタフカズ c1154 回想シーンの画面設計【Before】
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    ムタフカズ c1154 回想シーンの画面設計【After】

画面設計に求められるのは「臨場感や空気感を視聴者に伝えること」だと坂本氏は総括する。作画、背景、3DCGは目に見えないものを表現するのが難しい。「美味しそう」、「心地良い」、「暑い」、「寒い」といった感情が湧いてくるような映像を作るため、撮影処理でプラスアルファを加えることが重要になってくる。 それゆえに画面設計は「料理」に近いものだと坂本氏は持論を述べる。素材が悪ければ画面設計で工夫してよく見えるように、素材が良ければあまり足さずにそのままの良さを引き出す。そのコントロールによって映像の出来が左右されることがわかるセッションだった。

配信中には視聴者からは「画面設計は全カットで行うのか?」という質問が飛んだ。坂本氏は全カットでやる必要はなく、むしろスケジュール的には不可能だろうと回答。ムタフカズは約1,500カット中、画面設計をしたのは約半数の700カットほどだが、それでも一般的な作品に比べると高い割合だという。 とくにスケジュールの厳しいテレビシリーズの場合、1話あたり10〜20カットが限界だろうと推測。そのため画面設計をしなければならない重要なカットを見極めるという能力もクリエイターには求められることを伝えた。

パート2:3DCGの画をノンフォトリアルに見せるには?

セッションの後半では目指すべきルックをどうやって実現するのかに迫った。アニメーション学科の学生作品『Margaret』のメイキングでは、紙をスキャンした素材を合成することで、質感を出した手描き風のルックが実現できた例を紹介した。坂本氏は3D作品の絵作りには制限がないため、どのようなルックにしたいのかという最初のイメージが大切になると話す。

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    『Margaret』2018年度卒業制作:坪野 紘典氏 キャラクターはすべて3DCGで制作。 最終ルック
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    フラネルを足して光が回り込むような表現の素材とライン素材を合わせてカートゥーン調のルックに
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    手書きの背景に紙をスキャンした素材を合成

続いてムタフカズを再度題材にして、3DCGの使用例やカメラマップの方法論、3DCGをセル調に見せるテクニックなど、多彩なプロの技を徹底解説。とくに手描きとCGの混在カットでは作画と3Dチームの連携が重要となるため、作業が自社内で完結していないと難しいことなどに触れた。

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    手書きとCGの混在カットの工程。※画像は左上から順に 01.作画レイアウト 02.CGレイアウト 03.3Dセル素材(ワイヤーフレーム) 04.3Dセル素材(シェーディング) 05.3Dセル素材(シェーディング)+作画素材 06.3Dセル素材(ルック)+作画素材 07.炎のエフェクト(Softimage ICE)+作画素材 08.炎のエフェクト(ルック) 09.最終ルック
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    Z7部隊の3DCGモデル
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    Z7部隊のルックデヴ。影色・ノーマル色・ハイライト色をそれぞれ設定し、After Effectsで合成している

本パートの締めとして坂本氏は「結局は視聴者のことを考えたルックが作れているかどうかが第一だ」とコメント。その上で表現が洗練されているかどうか、作品とミスマッチが起きていないかを考えた上で、最終的には自分がカッコイイと思えるかが一番大事だと締めくくり、クリエイター志望の若者に向けてエールを送った。

「コロナ禍によって学生はノートPCは必須に。
坂本氏がゲーミングPC「Legion 550i」を推す理由とは?

セッションの後半では、こういったアニメーション制作を学ぶ上で必要となる環境構築について話してもらった。

新型コロナウイルスの流行によって、教育機関ではオンライン授業が積極的に導入され、場所を問わず講義が受けられるようになった。一方で、学生は自宅での作業を余儀なくされ、PCを自ら手配する必要に迫られている。また学生だけでなく教職員からも、授業カリキュラムや将来の仕事内容に応じた適切なスペックが把握できず、「PC選びに悩んでいる」という声が多くあがっている。

坂本氏は教育現場で学生たちを指導してきた経験から「コロナ禍ではノートPCは必須だと思います」と明言。オンラインだけでなく現地で授業を受ける際に持ち運べるという利便性や、ゲーミングノートであれば3DCG制作も可能なスペックを備えていることを理由に挙げた。

今回坂本氏に検証していただいたLegion 550iについて紹介すると、本製品はゲーマー向けに設計されたが、3DCGクリエイターにも大きな恩恵をもたらすノートPCである。CPUはIntel Core i7-10750Hプロセッサー 8コア/16スレッドを採用。学生にとって手の届きやすいエントリーモデルでありながら、3DCG制作において重要なGPUはミドルクラスの GeForce RTX 2060を搭載した。ストレージはSSD 1TB(PCle NVMe/M.2)で高速アクセスと大容量データを実現しており、学生にとって十分な性能を誇る。

さらに、ゲーミングPCを推薦する理由として、坂本氏はWindows機である点を強調する。 「3DCGソフトでMacに対応しているものが少ないため、3DCGの制作現場では主にWindowsPCが使われています。特にアニメーションのCG部は9割近くがWindowsではないでしょうか」。

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CGWORLD読者アンケートによる結果

今回、坂本氏にはLegion 550iを使って検証してもらった。まずAfter Effectsでムタフカズのシーンをレンダリングしたが、1,600×900ピクセルで12秒のカットは4分45秒で完了。さまざまな撮影処理が入ったシーンであったが、RAMプレビューもあまり時間がかからず、坂本氏「実際に制作で使っていたデスクトップよりも速いと思います」とマシン性能の進歩に驚いたようだ。

坂本氏によるLegion 550iを用いたAfter Effects検証動画

そして「SSDはレスポンスがすごく良いので、AEのキャッシュファイルを作るときも、かなりの違いがあるのでしょうね」と感想を述べた。さらに『ムタフカズ』の見せ場となるカーチェイスは、透過光や手ブレ、モーションブラーなどの撮影処理も多数加えられているが、こちらも難なくレンダリングすることができた。

続いてMaya 2020で3DCGのレンダリングも検証。モデルはムタフカズに登場するZ7部隊、シェーダはArnold Toonを使用した。レンダリングサイズはフルHDの1,920×1,080、フィルターはContour Filterでアウトラインを出力。こちらはAEに比べると時間はかかったものの、レンダリングのスピードは速く、Legion 550iでリッチな表現やストレスのない映像編集が可能だと実証できた。 坂本氏はかつてはOSやアプリを立ち上げるだけでも数分待たなければいけなかった時代を振り返りながら、「このスペックで学生さんは戦えますか?」という質問に「とても贅沢だと思います」と太鼓判を押した。

坂本氏によるLegion 550iを用いたMaya検証動画

またLegion 550i固有の利点としては、CPUとGPUを別々に冷却するデュアルサーマルシステムによって、静音性の確保と熱暴走の予防を両立したことが挙げられるが、それに対して坂本氏は「検証のためレンダリングをした際も、音や熱はとくに気にならなかった」とコメント。ノートPCの課題とされていた熱問題が解消され、長時間の安定した作業を可能にすると言えるだろう。そのほか画面サイズが17.3型と大型で、キーボードも入力しやすいなど、クリエイティブを妨げない配慮もなされている。3DCGのテクニックはもちろん、どのようなノートPCがクリエイターに求められるのか、制作環境の課題解決にも役立つセッションとなった。

Legion 550i (17) の製品情報はこちら

出典元:CGWORLD.jp https://cgworld.jp/interview/202103-lenovogaming.html https://cgworld.jp/

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