サステナビリティ
サプライチェーン
レノボのアプローチ
レノボは、エンドツーエンドのサプライチェーンプロセス全体で、企業の社会的責任およびサステナビリティに真剣に取り組んでいます。私たちは、サプライヤーに対して高品質の素材、部品、製品を要求するだけでなく、サプライヤーが該当するすべての労働、環境、健康と安全、および倫理面の基準を確実に遵守できるように支援するシステムを構築し、稼動させています。
この取り組みに終わりはなく、絶えず改善の機会が見出されることを認識しています。レノボのアプローチの特色は以下のとおりです。
レノボのサプライチェーンの概要
生産・支出額で見ると、およそ以下のような割合になります。

の当社の調達が、一般的に堅牢なサステナビリティプログラムを持つ大手サプライヤー (100 社未満) で賄われている

の当社サプライヤーが、独立した監査を受け、当社の直接的な検証業務の対象となっている

の当社サプライヤーが、ISO 9001 と 14001、および OHSAS 18001 認証を取得している

の当社サプライヤーが、正式なパブリックサステナビリティレポートを発行している

の当社サプライヤーが、責任ある企業同盟 (RBA) の正式メンバーである
主な要素:
- 人権
- サプライチェーンの労働条件
- 苦情の通知
- 差別および報復の禁止
- サプライチェーンデューデリジェンス
- サプライヤーのダイバーシティ
- 調達価格と倫理的な取引
- 利益とビジネスの完全性の衝突
- 気候変動
- 環境への影響
- 紛争鉱物
- パブリックサステナビリティレポートおよびポリシー
人権、環境への影響、完全性
レノボは、サプライヤーが、自社の従業員と環境を扱う方法、およびビジネスを遂行する方法に関して、責任ある倫理的な行為について最高水準を満たすことを期待します。このような期待の理由は契約要求事項にあります。
レノボ標準の注文書 (PO) および契約には、レノボの包括的なサプライヤー行動規範 (英文)の遵守について明記されています。この規範はレノボの価値観を守るものであり、人身売買、差別、従業員の苦情に対する報復、贈収賄、および汚職を禁止する条項が含まれています。この規範では、当社のサプライヤーに正式な苦情受付制度を設けることも求められています。
レノボは、 責任ある企業同盟 (RBA) (以前の Electronics Industry Citizenship Coalition (EICC)) のメンバーとしてエレクトロニクス業界と協力し、サプライチェーンの問題に取り組みます。レノボは、契約により RBA 行動規範 (英文) および関連する監査要件に従います。
Key Pillars of the RBA Code of Conduct include:
サプライヤーサステナビリティパフォーマンス全体が、広範なレポートカードプログラムによって追跡およびレポートされます。パフォーマンスは、品質、配送、テクノロジー、コスト、サービスにわたる 25 種以上の指標に基づいて評価されます。オープン評価、監査、行動計画、アクション項目の終了などのプログラムステータスに関する包括的なレポートが、毎月上級管理職に提出されます。
このプログラムの主要な目標は、最善のパフォーマンスを示すサプライヤーと共にレノボのビジネスを成長させ、期待を下回るサプライヤーと共に弱い分野を改善することです。サプライヤーのパフォーマンスは、計算式中で全体的な減点/加点の乗数として当てはめられます。サプライヤーが当社の期待に十分に応えていない場合は、ビジネスは打ち切られます。さらに当社は、250 以上のサプライヤーの財務および事業面の安定性をリアルタイムのリスク監視ツールで追跡しています。ビジネスの安定性は、サステナビリティプログラムの強力な主要指標の 1 つです。
また、サプライヤーは、年次サプライヤー会議などのイベントやミーティングに参加して、関係を強化したり、翌年の全般的なパフォーマンスや主要なイニシアティブについて検討したりします。加えて、戦略に関わる主要サプライヤーは、四半期ごとのミーティングに参加します。
レノボは、RBA プログラムおよび独立した監査に基づいて、サプライヤーのコンプライアンスを構成する複数の階層を直接検証します。利用できる監査には、お客様主導、被監査者主導、および VAP (Validated Audit Program) 監査とも呼ばれる RBA 主導の 3 つのタイプがあります。
レノボの手順と主要な統計値を以下に示します。
- 支出額ベースでサプライヤーの 95% が監査プログラムの対象で、そのおよその内訳は以下のとおりです。
- 支出額ベースでティア 2 サプライヤーの 60%。
- 支出額ベースでティア 3 サプライヤーの 30%。
- すべてのサプライヤーは、自己評価のリスクレベルを問わず、毎年の自己評価および 24 か月ごとの監査を実施しなければなりません。
- レノボはもっとも厳格な VAP 監査を推進しており、サプライヤー監査の約 75% を VAP 監査が占めています。
- プログラムステータス (オープン評価、監査、行動計画、行動項目の閉鎖) の包括的なレポートは、正式な重要業績評価指標として毎月提出されます。
- 監査スコアとサプライヤーの詳細から成る全体的なコンプライアンスパフォーマンスレポートは、四半期ごとに提出されます。
- レノボのサプライヤーは、それぞれ自社サプライヤーに対して、RBA 行動規範への準拠を求めなければなりません。
過度の労働時間や不十分な休憩時間に関して重大な問題がある場合、レノボは、コンプライアンスを最初に達成し、その後 2 四半期にわたって維持していることが実証されるまで、サプライヤーに従業員データを要求します。加えて、前記 2 つの項目について、四半期ごとに綿密な調査と社内レポート作成を実施します。
監査コンプライアンス結果
レノボ全体の平均監査パフォーマンスを以下に示します。毎年、当社全体の調達支出額のおよそ 50 パーセントを占めています。スコアは、200 点満点の重み付けしたシステムで算出され、「優先度」と「重大さ」の検出にかなりの重みが付けられています。レノボの定量的な目標は、すべての監査で監査スコア 170 超、優先事項の検出ゼロを達成することです。
全サプライヤー | 委託製造 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
セクション | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2018 | 2019 |
合計 | 147 | 177 | 156 | 170 | 167 | 153 | 174 |
労務 | 149.5 | 173 | 164 | 167 | 166 | 157 | 169 |
健康と安全 | 160 | 186 | 172 | 186 | 187 | 174 | 189 |
環境 | 183 | 200 | 185 | 200 | 200 | 182 | 200 |
倫理 | 200 | 200 | 200 | 200 | 200 | 198 | 200 |
管理システム | 188 | 200 | 200 | 200 | 200 | 189 | 200 |
優先事項 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
主要 | 6 | 3 | 4 | 3 | 3 | 6 | 3 |
トレーニングおよび能力開発
レノボは、グローバルサプライチェーンのスタッフを対象に、複数のトレーニングおよびコミュニケーション活動を実施しています。さらに、必要であれば教育パッケージと特定分野のエキスパートも活用できます。
レノボの主な社内トレーニングおよび意識向上プログラムは以下のとおりです。

毎月発行のニュースレター

半年ごとのサステナビリティトレーニング

サプライヤーレポートカードの減点および加点部分の半年ごとのトレーニング

毎年の環境影響トレーニング

毎年の紛争鉱物トレーニング

倫理、贈収賄および汚職禁止に関する想定についての毎年の従業員コミュニケーション
ほとんどのレノボサプライヤーは、企業の社会的責任について独自のプログラムを実施している国内外の大規模サプライヤーであるため、直接的な能力トレーニングはそれほど必要ありません。当社の活動は、目標についての意見交換に基づいた能力達成度、および達成状況の追跡に応じて調整されます。さらに、RBA には、すべてのプログラム、ガイダンス、ツールについてモジュール単位ですぐに学べる、総合的な研修センター (Learning Academy) があります。
ただし、レノボも以下の機会を提供しています。


サプライヤーのダイバーシティ
レノボはダイバーシティを非常に重視しており、多様なサプライヤーベースを開発および支持すると同時に、すべてのサプライヤーに平等に機会を提供することの価値を認識しています。当社は、持続可能で双方にメリットのある関係を構築しながら、多様な背景を持つサプライヤーが商品やサービスを提供できる実際の機会を最大限に設ける努力を払います。
レノボはその目標に向けて、マイノリティ、女性、兵役経験者、傷痍軍人、身体障害者、レスビアンゲイバイセクシャルトランスジェンダー (LGBT) が所有する企業、歴史的低開発地域 (HUBZone) に位置する企業、および当社の調達活動に含まれる小規模企業を対象としたインクルージョンの最大化に取り組んでいます。
詳しくは、当社の サプライヤーのダイバーシティ Web ページ (英文)をご覧ください。
サプライヤーの環境パフォーマンス
レノボはサプライヤーに対し、環境への影響データ (温室効果ガス、水の使用、廃棄物の発生量、再生可能エネルギー) のレポートを、RBA または CDP (旧名称:Carbon Disclosure Project) 経由で毎年正式に提出するように要請しています。
レノボの標準的な購買契約および注文書の契約条件では、サプライヤーが環境仕様、有害物質の不使用、オゾン層破壊物質の除去、製品の安全、個人情報の保護、損害賠償保険を遵守し、さらに、輸出入や製品の安全などに適用されるすべての法律に全面的に従うことを求めています。サプライヤーには、文書化された品質および環境管理システムを実装し、認証する責任もあります。
加えて、サプライヤーは、サプライヤー行動規範 (英文)を遵守しなければなりません。サプライヤー行動規範にある複数の規範要素と、差別および報復を禁止する要素は、サプライヤーが、人種、肌の色、性別、宗教、年齢、国籍、社会的または民族的出身、その他法律で保護されている何らかの階級に基づいて従業員を差別することを禁じています。これらの条項から逸脱する場合は、当社の法務部門からの承認が必要です。また、リスクの高い具体的な条項が関係する場合は、調達および事業部門の上級管理職の承認が必要です。.
もう一つ重要な点として、当社の包括的なサプライヤー行動規範の遵守は、独自性の高い別個のサプライヤー行動規範契約、標準購買契約、標準注文書のいずれかに従って履行される場合もあります。
環境リスク管理
レノボの調達チームは、全体的な環境リスクに含まれる個々の分野を具体的な基準に基づいて特定し、あらゆるリスクの軽減を保証するために行動します。サプライヤーは、以下のリスクカテゴリに分類されます。
レノボが既製品を購入するサプライヤー、または当該サプライヤーの通常のビジネス活動の一環として商業的に生産または提供される処理やサービスをレノボが利用するサプライヤー。つまり、いかなる特殊な要件があったとしても、レノボが環境への影響を増大させることはありません。ほとんどのサプライヤーはこのカテゴリに該当します。
素材または処理がその通常のビジネス活動の範囲外で取り扱われる場合に、レノボによって契約が締結されるサプライヤー。このようなケースでは、包括的かつ重点的な環境監査が必要とされる場合があります。これに該当するサプライヤーは少数で、RBA プログラム監査による環境監査が実施されます。
有害なまたは特殊な廃棄物を処理したり、製品の終末管理サービスを提供するサプライヤー。これらのケースでは、企業の環境コンプライアンス組織の承認、および現場での環境監査が必要です。これに該当するサプライヤーには、付加的な契約の契約条件および半年ごとの活動報告義務が課されます。
2019 年と 2020 年には、カテゴリ 1 と 2 のサプライヤーに要求されるすべての監査がスケジュールどおりに、また必要に応じて実施されましたが、コンプライアンス違反は検出されませんでした。カテゴリ 3 サプライヤーについては、サプライヤーの分類および監査ステータスが四半期ごとに検証されます。
紛争鉱物
レノボは、錫、タンタル、タングステン、金 (まとめて 3TG と呼ばれる) などの鉱物の責任ある調達の重要性を認識しています。コンゴ民主共和国 (DRC) と周辺諸国のような、政治的および地域的な紛争状態にある地域から調達されるこれらの鉱物は、紛争を長引かせる原因になり得るため、一般に「紛争鉱物」と呼ばれます。
DRC その他の地域からの鉱物の不買運動をしている国もありますが、レノボは、それは現場の状況の改善にはつながらないと考えています。レノボは不買運動ではなく、責任ある調達を重視しています。サプライチェーンにおける持続可能な鉱物調達に関して、企業が十分な情報に基づいて選択することを支援する RBA や政府系/非政府系の団体の努力を当社が全面的に支持する理由はそこにあります。
レノボは 2012 年以来、RBA の責任ある鉱物イニシアティブ (RMI) プログラムに直接参加しています。さらに最近は、サプライチェーン内で RMI Cobalt Reporting Template (CRT) を利用して、コバルトデューデリジェンス活動を公式に開始しました。これによって、製錬業者を特定できただけでなく、コバルトの管理チェーンに対する当社の理解が深まり、当社の新しいコバルト鉱物ポリシーの導入へとつながりました。
レノボでは、サプライチェーン内の紛争鉱物をさらに深く理解するためのデューデリジェンスプログラムも実施されています。このプログラムは、米国証券取引委員会のドッドフランク法および OECD ガイダンスの要件に準拠しており、主な骨子は以下のとおりです。
- 包括的な公式の紛争鉱物ポリシーを制定する。
- 正式な契約に基づいてサプライヤーを参加させ、紛争鉱物を規範に含む RBA 監査を独立した第三者が行い、サプライヤーのデューデリジェンス活動をレノボが直接認証する。
- 社内従業員向けに定期的な教育セッションを実施し、ニュースレターを毎月発行し、必要に応じてサプライヤートレーニングを提供する。
- レノボの調達支出額の 95% およびサプライチェーン全体で、合理的な原産国調査 (RCOI) 活動のために RBA Conflict Minerals Reporting Template (CMRT) を活用する。
- 製錬業者とそのステータスを特定するための RMI Smelter Engagement Team (SET) に参加する。
- RBA Responsible Minerals Assurance Process (RMAP) を使用して製錬業者を監査する。
- プログラムステータスレポートをレノボの最高企業責任者に提出する。
- 正式な紛争鉱物報告書 (CMR) とレノボのサプライチェーンに含まれる製錬業者のリストの両方についてのレポートを公開する。

完全に紛争に無関係のステータスが 89% から 97% に上昇。

タンタルは 100% 紛争に無関係のステータスを維持。

錫は紛争に無関係のステータスが 95% から 98% に上昇。

タングステンは紛争に無関係のステータスが 92% から 96% に上昇。

金は紛争に無関係のステータスが 82% から 95% に上昇。
合理的な原産国調査、デューデリジェンス、および製錬業者の詳細な内容と統計値については、レノボの最新の 紛争鉱物アップデートレポート (英文) をご覧ください。
さらに詳しくは、レノボの責任ある調達についてのWebページ (英文) をご覧ください。