起動からわずか2.7秒 ― レノボ・ゼロタッチログインの裏にある1000のアイデア

Amy Campbell、Worldwide Communications、Lenovo、
(こちらは米国レノボで2020年4月16日に公開されたこちらの記事を翻訳・加筆したものです。)

レノボ大和研究所に勤める小杉和宏は、通勤中もプライベートな時間であっても、常にPCかスマートフォンに閃いたアイデアをメモアプリに記録しています。それは良質なアウトプットにつながる重要なライフワークなのです。そんな彼の好奇心や創造力に同僚たちも一目を置いています。
「優れたひらめきほど、記録し定期的に整理して見直さないと、忘却の彼方に消え去り二度とそのアイデアに出会えません。」と彼は言います。

小杉さんのアイデアは、レノボがPC製品グループのセンサー技術に取り組み始めた過去14年間の資産となっています。彼は5年ほど前から、PCのゼロタッチログイン/ログアウトのUX研究・開発に多くの時間を費やしてきました。

「革新的な製品のアイデアは約30個のまとまったアイデアで構成され、そのアイデアは、約300の小さなアイデアでから構成されています。その小さなアイデアは、日々の仕事や生活、思考、人との会話から生まれた約3,000個の気づきから成り立っています。」

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PCセンサーからのユーザー距離を測定する小杉さん

「最もインテリジェントなPC」を創る

小杉さんがゼロタッチログインの開発をしてしばらく経った頃、スマートフォンには自動ロック解除機能が搭載され始めました。これは人の動きをセンサーで検知して、スマートフォンに顔を向けるだけで起動とログインを可能にする機能です。しかし、ノートPCに最適な検出範囲を満たすセンサーを小さな筐体に配置するには、多くの技術的な制限と課題が残っていました。

ある日、小杉さんはカフェで実験用のセンサーをノートPCにつけたまま作業をしていました。しかし、彼がコーヒーカップを手に取った瞬間、センサーが誤作動を起こしPCが強制的にログアウトされてしまったのです。これは外の環境からの影響による誤作動でした。

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小杉さんはこの体験から、センサーの干渉要因には外部の環境が重要であることを改めて実感し、さまざまな利用シーンを想定した作業に取り掛かりました。そして、一人でテストするのではなく、同僚を説得してセンサーを取り付けてもらい、オフィス内外のさまざまなシーンでのテストを繰り返しました。可能な限り包括的な条件でテストをするためです。

その結果、強い日差しや鏡面反射などがセンサーの認識能力に影響することがわかりました。テストを繰り返しながら、一つ一つフィードバックをかけていき、ユーザーにとって快適な機能になるよう技術と機能的価値のバランスを取りながら製品の最適化をしていきました。

さらに、小杉さんは、高精度な人感センサーの機能を完成させるために、サプライヤーと協力してセンサーのハードウェアから設計を改善し、誤検知を減らすようにしました。市場に出ている製品では、固定値に基づき設定された秒数で、自動的にログイン/ログアウトしています。しかし、小杉さんはチームをリードし、センサーと個々のユーザーのシナリオを組み合わせてロック時間を算出する仕組みを考案し、様々な条件を見分けユーザー固有の最適な画面ロック時間を自動計算する機能を開発したのです。

たとえば、通常の状態では、システムがユーザーを検知しなくなった場合、画面は自動的にロックされます。しかし、これではビデオ会議中にユーザーがペンを落としたりして一時的にフレームアウトしてしまうだけで、ロック画面に戻ってしまうことになります。小杉さんのソリューションでは、一定の時間間隔に関わらず、ユーザーの行動に適応するインテリジェントな学習アルゴリズムが備わっているのです。

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Lenovo Yoga S940

ハンズフリーログイン/ログアウトを搭載したLenovo Yoga S940は、CES 2019で初めて一般に公開されました。Yoga S940は、その軽量でスリムな外観、スマートなパフォーマンス、革新的なテクノロジーで高く評価されました。その中でも特に評価されたのは、このセンサー技術です。ユーザーの接近を自動的に検出し、起動とロック解除が行われます。ログインするのにかかる時間は2.7秒未満。イノベーションを追求するために、小杉さんとチームは10件以上の特許技術を発明しました。

改善は決して止まらない

製品発表に成功しても、小杉さんはアイデアを育み続けています。Lenovoが業界をリードしているセンサーテクノロジーにも、継続的な改善の余地があると確信しており、未来のLenovoデバイスをよりスマートにするために準備をしているからです。イノベーションを奨励するレノボのカルチャーは、多くの創造的なアイデアの実現を後押しし、自由に考え失敗を恐れずに実験する柔軟性を与えてくれていると小杉さんは言います。彼はこれからも、記録された何万ものアイデアを未来の世界を変えるテクノロジーに進化させていくことでしょう。

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エンジニアを目指す皆さんへ。小杉さんからのメッセージ

世の中にないものを作り出す喜びは何にも代えがたい物です。それは、未来を自分の力で作り上げているとも言えます。
自分で作った製品に繰り返しテストを行い、そこから気づきを得て、さらに改善を行っていきます。いつまでも尽きることのない探求心をとことん追求できる最高の職業です。一緒にチャレンジできることを楽しみにしています!
私個人としても、これからも継続してSmartな製品を作り続けていきフルスタックエンジニア(※1)を極められるよう、新しいことにもどんどんチャレンジをしていきたいです。

※1 フルスタックエンジニア(マルチエンジニア)すべての開発を一人で手がけられるエンジニア